個人投資家の桶井道(おけいどん)さんの連載「おけいどんの投資&適温生活LIFE」。今回のテーマは投資の出口戦略の実際についてです。出口戦略とは、投資で増やしたお金を将来どのようにして利用できる形にするか、その方針のこと。桶井さんは「ただ現金化するだけでは、長生きした場合にいつ資金が尽きるか不安になってしまいます」と言います。長生きリスクを考慮したうえで、出口戦略はどんな方法が考えられるのか。桶井さんの著書『お得な使い方を全然わかっていない投資初心者ですが、NISAって結局どうすればいいのか教えてください!』(すばる舎)の一部を抜粋し、編集しました。
主に3つの出口戦略が考えられる
投資の出口戦略として考えられる方向性は、大きく分けて次3つです。
このうち、①の全額現金化は非現実的です。老後に資産運用をせずに逃げ切る、つまり死ぬまで生活に必要な現金を維持するには、現金化した時点で相当な資産が必要だからです。 自分の寿命がいつ終わるかはわかりませんし、昨今の物価高のゆくえも気になります。いくらあれば安全圏か、事前にはわかりません。
また運用なしでは現金が減る一方になりますから、仮に資産額には余裕があったとしても(あるように思えても)、メンタル的によくありません。やはり、なんらかの方法で運用を継続するのが現実的でしょう。
投資信託の取り崩しに「老い」が立ちふさがる
②の投資信託の取り崩しはどうでしょうか? 先に結論から言うと、私はオススメしません。投資信託は、分配金を出さずに自動で再投資するタイプであれば、お金の増え方の面では効率的なケースが多いです。そこは否定しません。しかし、投資は「数学的要素(=効率)」だけでは語れません。人間には心があることと、老化により能力が落ちることが問題となります。