南果歩さん(撮影/植田真紗美)

「自分は何者なのか」という問い

 激しい競争を勝ち抜いたオーディションについてはこう振り返る。

「すごく時間をかけた丁寧なオーディションだったので、勝ち抜いたという感じはありませんでした。本当に役に合った人をじっくり選んでいるというのが、途中から私にも分かってきましたから。オーディション会場での審査後は、小栗監督と何度も個別でお会いして話をしました」

 主人公の伽椰子という少女は、在日朝鮮人の男性と日本人の妻に養女として育てられた日本人という設定。オーディションの応募要項には、16歳から19歳までの日本人少女、と書いてあった。南さんは、その時すでに日本国籍を取得していたので、要項には反していないと応募した。小栗監督との面談を重ねるうちに、南さんは両親が在日韓国人で、自身が在日3世であることを告白したという。

 自身のルーツについて、今はどう考えているのか。

「在日3世であることが、私自身をつくる大きな核になっていると思います。私の思考、物事のとらえ方などすべてにおいてです。私がお芝居の世界に身を置いていることも、関係していると思います。この環境下でなかったら、私は女優の道を選んでいたかどうかわからないですね。自分は何者なのかという問いが、物心ついた時からありましたから」

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韓国映画にも出演