会見で頭を下げる鹿児島県警の野川明輝本部長
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「藤井さんの刑事裁判は近く結果が出るでしょう。終われば、私が動く番です」

【写真】公判後、カメラに向かって頭を下げる藤井被告

 こう語るのは福岡県を本拠にするニュースサイト「ハンター」を主宰する中願寺純則氏(64)だ。

 鹿児島県警の元巡査長、藤井光樹被告(49)の初公判が7月11日に鹿児島地裁で開かれた。藤井被告は、県警が扱った事件の詳細が記載された内部文書「告訴・告発事件処理簿一覧表」を、中願寺氏に漏らしたとして地方公務員法違反(守秘義務違反)の罪に問われている。

 藤井被告は公判で起訴内容を認め、警察情報を漏らした動機については、
「被害者の女性を不憫に思いました」
 と語った。

 ハンターは、2022年から鹿児島県で起こった強制性交事件について報じていた。鹿児島県警が被害女性の告訴状の受理をいったんは拒み、その後、被疑男性の父親が勤務する警察署で受理するなど、不可解な捜査を追及する記事だった。

 裁判で、藤井被告は、この事件について中願寺氏から話を聞き、
「県警の捜査がおかしいという中願寺さんの主張に共感し、自分でも調べなければと思った。実際、捜査はおかしいと感じた。私より捜査に詳しい同僚もおかしいと言っていた」
 と述べた。

 犯行動機の一つに、警察組織への不信があったと言い、
「警察は不偏不党、公平でなければならない。警察の軸をずらしたもの。捜査機関としてあるまじき対応で、実情が明らかになり、組織体制が改善されることを期待した」
 と訴えた。

 また、藤井被告は自身が勤務していた県警志布志署でも、
「不十分な証拠管理で事件捜査をしていた」
 とも暴露した。

 ただし、自身の情報漏洩については「警察への信用失墜を招いた」と反省を述べ、
「今後は中願寺さんとは会いません」
 と語った。

 だが、藤井被告は法廷が終わってメディアに囲まれると、
「中願寺さんには申し訳ない」
 と述べている。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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