今回が20年ぶりの新紙幣発行なので、順当にいけばそれぐらい後にまた新しくなるのだろうか。20年後……私は66歳。わー、ちょうど年金がもらえるくらいの歳だ。
そういえば、ちょっと前に「年金受給年齢を65歳から70歳へ変更を検討」 なんてニュースが出ていた。
ドトールの隣のテーブルでおじさんが「ふざけんなよ!」と一人怒っていた。「俺はいつまで働けばいーんだよ!」と。そらそうだ、貰えるものは早く貰いたい。死んじゃったらそれっきりだもの。
しかしながら我々落語家には定年がない。自ら引退せずに、なんとなく仕事があれば生涯現役だ。70歳なんてバリバリで脂が乗りきっている世代と言えるので「おい! 70まで働かせるつもりか!?」なんて怒ってる落語家はそんなにいない。
だから私も「年金なんかどーせもらえるかどーかもわかんねーしなー。はいはいー、いーんじゃないですかー」と鼻くそほじりながらスルーしてしまっている。
[十数年前まで落語界には「芸能人年金」ってのがあったが、加入してる人が誰もいなかった。とかく落語家は「年金」なるものを信じていない]
私は落語家になって数年間、納付してなかったんじゃないかな、国民年金。そのあと遡って確か何年か分は払った気がする。時効になっちゃった分もあるのでよくわからないけど。
とにかくあの頃はお金がなかったから、年金なんて二の次だった。「二つ目」になったころが特に酷かった。ちょうど先代の紙幣のデビューと同じ頃。楽屋で新五千円札を手にした先輩が「樋口一葉ってのは弱っちい相撲とりみてえだなー! こんなのが札だなんて、なんだかなー!」とヘラヘラしてたのが2004年。私が二つ目に昇進した年だ。
20年経って国民年金は今のところ、ちゃんと払えているので、私もなかなか頑張っていると言っても良いのではなかろうか。
ここから20年後、私は果たしてちゃんと受給出来るのだろうか。最前も言った通りあまり期待はしてないが、これだけ私も頑張っているのだから国もしっかりやれよ、コラ! と言わせて欲しい。