昨年10月、就任会見でガッツポーズをする小久保監督
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 首位を独走しているソフトバンク。打率、本塁打、防御率、勝利数など投打のタイトルを独占状態で、圧倒的な力を見せているが、小久保裕紀監督の手腕が過小評価されているように感じる。

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「誰が監督をやっても今のソフトバンクなら勝てる――」。SNS上ではそんなコメントが散見されるが、決してそうではない。

 ソフトバンクは2021年から3年連続V逸となった。昨年3位に終わった後、藤本博史前監督が辞任し、小久保監督が就任。昨年オフは、FA西武から山川穂高、トレードで巨人からアダム・ウォーカーを獲得したものの、不安定だった先発投手陣で目立った補強はなかった。今季、ウォーカーは打率.169、1本塁打と打撃不振で4月下旬に登録抹消。ドラフトを除けば、昨年の戦力からのプラスアルファは山川ぐらいだろう。

 さらに、中心選手である柳田悠岐が5月31日の広島戦で負傷交代。「右半腱様筋損傷」で長期離脱した。牧原大成、三森大貴も故障で相次いで離脱した。開幕から本塁打を量産していた山川も6月は月間打率.182でノーアーチと快音が止まった。

 それでもソフトバンクは順調に白星を重ねている。6月は17勝5敗1分。目下今季最多の貯金29で、2位以下に10ゲーム以上の大差をつけている(成績は7月3日時点)。

 319得点はリーグ断トツ。その原動力になっているのが、不動の5番を務める近藤健介だ。打率.352、13本塁打はリーグトップ。47打点は2位と、三冠王を狙える位置につけている。昨年世界一に輝いた侍ジャパンでは2番を務め、チームでは3、4番を担うことが多かったが、今季は小久保監督の意向で開幕から5番で起用されている。野球評論家から賛否両論の声が上がったが、スポーツ紙デスクはこの起用法を高く評価する。

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侍ジャパン監督として「資質」を問われた試合は