学校や仕事、生活での悩みや疑問。廣津留さんならどう考える?(撮影/吉松伸太郎)
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小中高と大分の公立校で学び、米・ハーバード大学、ジュリアード音楽院を卒業・修了したバイオリニストの廣津留すみれさん(30)。その活動は国内外での演奏だけにとどまらず、大学の教壇に立ったり、情報番組のコメンテーターを務めたりと、幅広い。「才女」のひと言では片付けられない廣津留さんに、人間関係から教育やキャリアのことまで、さまざまな悩みや疑問を投げかけていくAERA dot.連載。今回は、ハーバード時代にどんな音楽の授業を受けたのかについて聞いてみた。

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Q. ハーバード大学では音楽とグローバル・ヘルス(国際保健)を専攻されていたそうですが、音楽の授業ではどんなことを学んだのでしょうか? 小さいころからバイオリンを続けてきた廣津留さんが授業を受けて驚いたことはありますか?

A. ハーバードの音楽の授業で学ぶのは、基本的には理論と作曲です。音楽理論は小さいころから学んできましたが、米国では新しい視点でのアプローチも多く発見がありました。実践系の授業は教授の先生方も多様でおもしろいものが多かったです。

 特にジャズの授業は印象に残っています。コードをひととおり学んだ後は、好きな楽器を持ち寄って即興でセッションを行うという内容でした。音楽専攻以外の学生が多く履修していたのですが、ハーバード大学には楽器を弾ける人が驚くほど多く、また歌で参加するのもOK。ジャズのセッションを通してその場で音楽をつくるのは、クラシックをやってきた私にとってはちょっとハードルが高かったですけど、すごく楽しかったですね。

 びっくりしたことといえば、音楽を言葉で表現する授業が多かったこと。ハーバードにはアーティスト・イン・レジデンスのような形でプロのカルテットが学内に住み込みの形でいまして、室内楽をやりたい学生たちは彼らから指導を受けられました。そして、プロの指導のもと、日頃の練習成果を発表してフィードバックし合うというクラスがありました。日本では楽器を習うときは個別レッスンが基本でしたが、アメリカではグループレッスンのような形でみんなの前で演奏して、その演奏に対して学生同士がコメントし合う授業があるんです。

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ハーバードで受けた作曲の授業とは