滝澤博胤(たきざわ・ひろつぐ)/東北大学理事・副学長(教育・学生支援担当)。同大大学院工学研究科応用化学専攻教授。専門は無機材料化学(写真:東北大学提供)
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 いま、大学が求める学生像が変わりつつある。産業構造の変化に伴って、問題解決力がある人材が求められているからだ。AO入試に積極的な東北大学は、どのような学生を望んでいるのか。AERA 2024年7月8日号より。

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オープンキャンパスの様子(写真:東北大学提供)

 東北大学の入学者のうち、AO入試(総合型選抜)による入学者は全体の3割を占める。将来、入試を全てAO入試に移行すると昨年発表した。東北大学が求める人材について滝澤博胤理事・副学長が話す。

「東北大学が求めるのは、挑戦する心を持った学生です」

 研究第一、門戸開放、実学尊重という東北大の理念に通じる。

「研究とは単なる知識の詰め込みではなく、自分の持つ知識を組み合わせて、新しいものを創造すること。そして、実学尊重とは社会の役に立つことをすることです。一つの分野で非常に優秀な人はいますが、現在の社会課題を解決するには、一つの知識や能力だけではとても解決できません。学問全体への興味関心を持ち、幅広い知識に基づき複眼的視野を持って物事を広く眺めることができる志願者を求めています」

 スタートアップでもいいし、新しい文化を創造するのでもいい。人間社会に新たな価値観をもたらす学生を求めている。

「自分で自分を伸ばせる学生かどうかを見ています」

 東北大学のAO入試II期は、面接の配点が大きい傾向にある。高水準の学力の担保のために、筆記試験を課す。筆記試験を経て進む2次選考では、面接試験があり、筆記と面接の配点は1:1の学部もある。

「アドミッションポリシーに合致する人材は、筆記試験や高校の調査書だけから、測ることはできないと思っています。だから東北大学で何をしたいのか、入学して何をしたいかを丁寧に聞きます。決して特別な練習をしなくて構いません」

 そのため、無理に調べて、志願理由書に「この教授のもとで、こんな研究をしたい」と書かなくてもいい。

「自分のポケットの中に、いろんなものが詰まっているから、アイデアが出てくるわけです。高校までは、まだポケットはスカスカだと思います。大学に入り、自然科学から人文社会まで幅広く学ぶことでポケットの中にたくさんのものを詰め込むことができます」

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