二軍では3割をマークしている阪神・野口恭佑(写真提供・阪神タイガース)
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 シーズン143試合の約半分を消化したプロ野球。セ・リーグは上位から下位までのゲーム差がまだまだ小さく、パ・リーグもソフトバンクの独走と西武の低迷は目立つものの、それ以外の4チームは団子状態だけにクライマックスシリーズ進出争いは終盤までもつれ込む可能性が高そうだ。トレードや新外国人の獲得など補強が可能な期間は7月末まで残されており、ここから積極的に動く球団が出てくることも考えられるだろう。

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 そして補強以外で戦力を底上げできる方法はファームからの抜擢である。トレードや現役ドラフトで移籍して活躍している選手がいることからも分かるように、ポテンシャルの高さがありながらも二軍でくすぶっている選手はまだまだいるはずだ。そこで、現在は二軍暮らしが続いているものの、後半戦に積極的に起用してもらいたい選手を探ってみたいと思う(成績は6月30日終了時点)。

 まずセ・リーグ連覇に黄信号が点灯している状態の阪神だが、大きな課題となっているのが得点力不足だ。チーム打率、本塁打数、盗塁数はいずれもリーグ最下位。規定打席に到達して打率.250以上の選手が一人もいないという状況となっている。来日2年目のノイジー、ミエセスの外国人選手2人も全く機能しておらず、主力の復調を待つだけでは巻き返しは難しいのではないだろうか。

 そこで抜擢に期待したいのが井上広大だ。井上は一昨年、昨年といずれもウエスタン・リーグで2位となる11本塁打を放つなどその長打力は誰もが認めるレベルにある。課題だった確実性も今年は二軍で打率.275、出塁率.385をマークしており、成長が見られる。5月に一軍昇格を果たした際も、スタメンで起用されて3試合連続でヒットを放っている。三振が多いのは課題だが、チームに不足している長打力を備えているのは魅力だ。

 同じ阪神の野手ではともに2年目の井坪陽生、野口恭佑の2人も二軍で規定打席に到達して3割以上の打率をマークするなど成長を見せている。調子が上がらない外国人選手を起用するくらいなら、チームの将来を考えても彼らのような若手にもっとチャンスを与えるべきではないだろうか。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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