全国的に暖冬と報じられ、穏やかで暖かい日々が続いた今年のお正月。まぶしい日差しにもう春なのでは?と思いきや、本日1月6日は二十四節気の「小寒」。いよいよ「寒の入り」となり、週末にかけて少しずつ気温が下がるという予報もあいまって、これからが本格的な寒さの始まりのようです。七十二候では、「芹乃栄(せりすなわちさかう)」。お正月気分からだんだんぬけて、七草粥で体調を整える時節となります。

寒中に咲く冬の花・蠟梅
寒中に咲く冬の花・蠟梅

「小寒」の本日から「節分」までが「寒の内」。本格的な寒さの到来です

昨日沖縄ではなんと25度以上の夏日を記録した一方、北海道では雪が降り寒い日々が続いています。南と北でずいぶんと気温差のある日本ですが、この冬は全体的に暖冬。暖かく春めいたお正月を迎えた方も多いことでしょう。さて、お屠蘇気分もそろそろぬけてきた本日6日、暦かわって二十四節気「小寒」となりました。
(天文学的に言えば「小寒」は、太陽が黄経286度の点を通過するときをさします)
この「小寒」よりついに時節は「寒の入り」となり、2月3日の「節分」(立春の前日)までが「寒の内(寒中)」。約30日間ほど厳しい寒さが続き、寒中見舞いを出すころです。
昼が一番短い「冬至」から少しずつ陽の気が増え、陰気にさからうためか、ますます冷えていくことを示す「小寒」。
半月後の1月21日には「大寒」となり、2月4日に「立春」を迎えるまで、寒さがいっそう本格的になっていきます。

透き通るような蜜臘(みつろう)色の花、寒中に香しく咲く「臘梅(ろうばい)」

「小寒」のころは花が少ない時期ですが、空気の冷たさに青く澄み渡る冬空や、まっしろな雪原をバックに、透き通ったパステルイエローの花がちらほら可憐に咲いてきます。
梅にも姿が似たその花「臘梅(ろうばい)」は、お正月頃から咲きだす中国原産の花。17世紀ごろ日本に渡来したものとされ、「唐梅(からうめ)」、「南京梅」、(中国の詩では「金梅」)、香りが梅よりも強いことから「香梅」とも呼ばれています。
「臘梅」の花名の由来は、陰暦の12月「臘月(ろうげつ)」に梅に似た花を咲かせることから。または、花の色や質感が蜜臘や蜂蜜に似ていることからだとか。
群馬県安中市「ろうばいの郷」(1月10日に「ろうばいまつり」を開催)、埼玉県長瀞町「宝登山臘梅園」など、各地にあるこの花の名所へ、この時期一度は訪れてみたいもの。寒く冷たい雪景色の中でも金色に、甘やかな匂いをまといどこか幻想的に咲く「臘梅」。寒中にありながら、春の光を思わせる冬の花です。

七十二候「小寒」の初候は「芹乃栄(せりすなわちさかう)」。明日7日は「人日(じんじつ)の節句」

七十二候で6日~10日は、「小寒」の初候「芹乃栄(せりすなわちさかう)」。実際に「栄う」ほどたくさん見られるのはもう少し後のことですが、芹(セリ)はセリ科の多年草で、日本全国の山野に自生。古くから食用とされていたことが、古事記や万葉集に記されています。
そして明日7日は、五節句の一つ「人日(じんじつ)の節句」。
この日、芹をはじめとする春の七草を入れて炊いた「七草粥」を食べると万病を防ぐと伝えられています。七種の野菜を入れたお粥を食べる習慣は、もともと中国から伝来したもの。江戸時代に幕府の公式行事となり、いままた盛んになってきている年中行事です。
さて「人日(じんじつ)」の意味合いをひもとくと……正月1日は鶏、2日は狗(いぬ)、3日は猪、4日は羊、5日は牛、6日は馬と、古来中国ではそれぞれの動物を殺さないようにしていたそう。7日は「人」で、罪人の刑を行わなかったことが由来なのだそうです。
「人の日」=「じんじつ」は、現代では年末年始に御馳走を食べ過ぎた胃腸を休め整えるため、「人」(我が身を)をいたわる日でもあるようですね。
上賀茂神社や諏訪大社、愛宕神社など「七草粥」をふるまってくれる神社がお近くにあるのなら、参拝も兼ねて訪れてみるのもおすすめです。まだまだ春までは遠く、これからが長く感じられる寒中に、青菜入りのお粥で冬に不足がちなビタミンを補い、邪気を払って、無病息災を祈る。暖冬とはいっても寒暖の差が体にこたえるこの時節、みなさまどうかくれぐれも御身大切にお過ごしください。

●参考&出典/現代こよみ読み解き事典(柏書房)、花の七十二候(誠文堂新光社)、年中行事読本(創元社)