松下:「PRINCE LIVE」をやっていた頃、僕は自分の居場所を探していた時期で。当時27歳。自分が何をやりたいのかを考えるようになっていた。22歳くらいから舞台を本格的にやり始めて、ミュージカルもやらせてもらってきたけど、僕はどこにいたいんだろう、と。
白洲:うんうん。
松下:「PRINCE LIVE」で色々なことをやらせてもらって、事務所の若手の子たちとの絆は深まったけど、一方で、ずっと続けるわけにはいかないとも思っていた。僕はやっぱり芝居がしたかったんだと思うんだよね。そんなことを沸々と考えている時に、なんとなく白洲迅も同じなんじゃないかなと思ってたんですよ。芝居がしたいというバイブスを感じてたんだ。
白洲:そっか、洸平くんにとって、あの時期はそういうタイミングだったんだね。
僕もお芝居をきちんとやりたいとは思っていたけど、当時はどこに向かっていくんだろうという不安が大きかった気がする。同年代の俳優と自分を比べてもいたし、自分の中でいろんなことが言語化できていない状況でした。悩んでたよ。
松下:うん。何かを探している目をしていて、迅は迅でいろいろ考えているんだろうな、と思ってたよ。その後、僕は「PRINCE LIVE」を離れ、「C.I.A.」というサポーターズクラブに変わって、迅はその真ん中になった。
白洲:そうだね。真ん中に立って21年までやりました。3年前だから28歳まで。そう考えると当時の洸平くんと同じくらいに僕も卒業したわけだね。歌って踊って、目の前のお客さんに喜んでもらうのはすごく楽しかったし、とてもいい経験をさせてもらった。その上で、お芝居をちゃんとやりたいなと思わせてくれた場だったね。
松下:迅とは、その後は事務所でたまに顔を合わせる程度だった。2年前に音楽劇「夜来香ラプソディ」で共演することができたんだけど、佇まいが凛としていて、でも内側はものすごく熱いから、2人で言い合うシーンでは声枯らして怒るし、泣くし、叫ぶし。バイタリティーの高い人だなと思った。
白洲:熱量という意味では、あの時の洸平くんに引き出してもらった感は強かったよ。
松下:え、そう?(笑)
白洲:洸平くんは六つ年上だけど、先輩面はもちろんしないし、普段はふざけていることの方が多いから、気づいたらタメ口で話してしまう。車のドアに携帯をはさんで粉々にしてしまった姿なんかも見てきたし。おっちょこちょいなんだよね。
松下:稽古最終日の衣装付きの通し稽古の日ね(笑)。
白洲:そうそう(笑)。でも、初めて共演して、うわっ、洸平くんがちゃんとしてる、と思った(笑)。
松下:あははは(笑)。
白洲:稽古場から始まって本番まで主演として、すごくかっこよかった。みんながついていきたいと思わせてくれる背中をしてたよ。
※AERA 2024年7月1日号