6月もまもなく終わります。最近「AERA dot.」で掲載された記事のなかで、特に読まれたものを「見逃し配信」としてお届けします(この記事は5月26日に「AERA dot.」で掲載されたものの再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。
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マッチングアプリで出会うことが主流となった昨今だが、アプリからの恋愛ならではの難しさに直面する人もいるようだ。「アプリ恋愛」で意識すべきことは何か。AERA 2024年5月27日号より。
怪しいイメージが先行していたマッチングアプリだが、それも今は昔。18~40歳の男女にとっては、「当たり前になっている出会いの手段」に。41歳以上の世代では、「怪しい」と感じている人がやや多いが、タレントの新山千春さん(43)がアプリで出会った男性と結婚したことを公表したように、アプリを取り巻く市場は大きく変化している。
だが、こんな声もある。
「結論を言うと、アプリは私には無理」
都内に住む31歳女性は、そうきっぱりと言い切る。長く付き合った恋人と別れたことをきっかけにアプリに登録。そこで出会った何人かの男性と付き合ったが、いずれも続かなかった。
「表面上のコミュニケーションはそつなくできますが、『自分にはこんな側面があります』というのを徐々に出していくのが難しい」
日常生活で少しずつ相手のことを知るのと違って、アプリでは探り合いの会話が続く。目の前の人に興味がわかない段階で趣味の話に相づちを打つ。“接待感覚”が抜けなかった。
「かといって、最初から変わったことを言う人は、それはそれでヤバい人じゃないですか。よっぽど顔が好きとか、3カ月以内に結婚したいといった強い動機と目的意識があればプロジェクト的にやれるかもしれないけど、『彼氏がいたらいいな』くらいのテンションだと厳しい」
アプリで出会った人とやりとりを続けるなかで、特有の難しさにも気づいた。
「恋愛って、どちらかが相手のことをいいなと思って始まるもの。でも、アプリはニュートラルなところからスタートする。私は恋愛において対等っていいことじゃない気がするんです」
言語化し自分を知る
交際するなかで、人として対等ではあるべきだとは思う。だが、付き合う段階で「追う人」と「追われる人」という関係性の上下がない恋愛にはやりづらさを感じたという。