中日・カリステ
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 毎年新星が飛び出してくるプロ野球。武内夏暉(西武)、西舘勇陽(巨人)、度会隆輝(DeNA)のようなドラフト1位ルーキーにどうしても注目が集まるが、シーズン前にはそこまで話題になっていなかったものの、驚きの飛躍を遂げた選手も確かに存在している。そんな“嬉しい誤算”となっている選手は誰がいるのだろうか(成績は6月19日終了時点)。

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 真っ先に名前が挙がるのが水谷瞬(日本ハム)だろう。昨年までの5年間で一軍出場はなく、シーズンオフに現役ドラフトソフトバンクから移籍。キャンプではその長打力を新庄剛志監督が絶賛していたが、オープン戦では結果を残せず今年も二軍スタートとなっている。4月9日に一軍昇格を果たし、4試合にスタメン出場したものの、シングルヒット2本に終わり22日には再び二軍降格となった。しかし5月21日に再び一軍登録されると、それ以降はレフトのレギュラーに定着。セ・パ交流戦では15試合連続ヒットを放ち、交流戦史上最高となる打率.438をマークしてMVPを受賞したのだ。

 長打力に関してはソフトバンク時代から話題となっていたが、短期間とはいえここまでヒットを量産できると考えていた関係者、ファンはいなかったのではないだろうか。基本的に引っ張る打球が多いが、追い込まれてからも簡単にアウトにはならず、粘れるようになったのが大きな成長だ。また得点圏打率も.478と驚異的な数字をマークしている。現役ドラフトで移籍した野手では昨年の細川成也(DeNA→中日)も見事な活躍を見せたが、一軍での実績が全くなかったという意味では、水谷の方がインパクトは強いだろう。

 日本ハムでもう1人驚きの活躍を見せているのが水谷と同じプロ6年目の田宮裕涼だ。過去5年間で一軍出場は31試合、ヒットは13本と水谷よりも実績はあったものの、目立った成績は残せていなかった。昨シーズン終盤に度々見事なスローイングを見せて話題となったが、それでも今年のレギュラー捕手として期待していたファンは少なかっただろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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“嬉しい誤算”となったセ・パの投手は?