学校や仕事、生活での悩みや疑問。廣津留さんならどう考える?(撮影/吉松伸太郎)
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小中高と大分の公立校で学び、米・ハーバード大学、ジュリアード音楽院を卒業・修了したバイオリニストの廣津留すみれさん(30)。その活動は国内外での演奏だけにとどまらず、大学の教壇に立ったり、情報番組のコメンテーターを務めたりと、幅広い。「才女」のひと言では片付けられない廣津留さんに、人間関係から教育やキャリアのことまで、さまざまな悩みや疑問を投げかけていくAERA dot.連載。今回は、家庭や会社で自主性や主体性を育む秘訣について聞いてみた。

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Q. ちょっとした勉強など、2歳の子どもに「一緒にやろう」と楽しそうに声がけしても「ママがやって」と何でもかんでもママ頼り……。自ら進んではやってくれません。廣津留さんは英語もバイオリンも勉強も自主的に取り組んできたと思うのですが、ご両親はどのようにガイドしてくれていたのか、教えてください。

A. お子さんに「一緒にやろう」と声をかけてしまうと、もし自分がやらなかったらお母さんがやってくれるだろうと思ってしまうのかも。うちの場合は、「これをやろう」と直接言われるのではなく、興味を持ってほしいものがさりげなく私の目に入るところに置かれていたり、「これ、なんか楽しそうだね」という雰囲気が醸し出されていたりと、無意識のうちに私が進んで取り組めるように工夫がなされていたように思います。

 いま振り返ってみれば、ゲーム感覚とご褒美システムをうまく活用して私が自主的に取り組めるようにしていたんだと思います。私も本当に小さいころはバイオリンの練習をやりたくなかったんですよね。家では3時間練習をしたら100円貯まるというポイント制みたいになっていて、「1800円分貯まったら、ぬいぐるみを買ってもらえる!」と、ものに釣られて続けていたような(笑)。また、締め切りや制限時間があることもモチベーションを上げるポイントでした。バイオリンのレッスンを受けるのは週1回。私自身が負けず嫌いなところもあったので、1週間後の次回のレッスンまでにこの曲を弾けるようになりたいという気持ちがあり、自然と練習するようになっていきました。英検の長文問題も制限時間があるのでゲーム感覚だったんですよね。限られた時間内にタスクをこなしたら、それに見合うだけのご褒美や達成感があるのが楽しかったんだと思います。我が家では階段一段につき1問ずつクイズを置いて、全部解けたらいちばん上の段にあるご褒美がもらえるなんてこともやっていました。

 ゲームは楽しいから「またやりたい」というある種の中毒性があって、自然と反復することができる。子どものころ、初めて見る漢字を書き写して「漢字採集ノート」を作っていたのも、ポケモンを集めるようなゲーム感覚で、コレクションが増えていくのがうれしかったんですよね。そういういい意味での中毒性を勉強や習い事にも落とし込めるような仕組みをつくれたら、お子さんも自ら取り組んでくれるようになるんじゃないでしょうか。

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若い社員の主体性を育みたいと悩む人への回答は