「歌手になる」という夢を叶えて14年。今市隆二さんがボーカリストとしての活動を続ける中で感じた「歌」への思いを語った。AERA 2024年6月17日号より。
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ソロデビューから6年。今市隆二にとって初の海外公演となる台湾でのファンミーティングを皮切りに、ソロ活動が続く。
「改めて自分と深く向き合う期間にしたい。そこで一連の活動を『“R”OAD』と名付け、映像を撮ったりして、自分を探していくひとつの物語にしました。今の今市隆二という意味合いを込めてタイトルを付けたアルバム『R』では、様々なクリエイターと組んでこれまで自分がやってこなかったアプローチに挑戦することで自分を見つめ直しています」
2023年は6度目のドームツアーをはじめ、三代目J SOUL BROTHERSとしての活動を精力的に行った。
「ソロでもモデル業をやったり、様々な活動をする中で、ふと『自分って何なんだろう?』と思う瞬間がありました。アルバム『R』で今の自分がシンプルに良いと思う音楽を表現して改めて思うのは、何をやろうとも自分はボーカリストだということ。僕から歌を取ったら何も残らないという感覚があります」
歌手になるという夢を叶えて14年が経つ。
「歌は数分間の短い時間で人の心を打つことができる。洋楽を好きになったきっかけでもあるブライアン・マックナイトの家にホームステイをしたことがあるんですが、すごく愛情をもらいました。その後ブライアンの歌声を聴くだけで涙が出そうになってくるのも歌の力ですよね」
憧れは50年以上ステージに立ち、歌を届け続けるレジェンド、矢沢永吉だ。
「経験を積めば技術は身に付いてきますが、上手い歌より人の心に刺さる良い歌を歌いたい。矢沢さんは74歳になってもなおステージに立ち続けて歌で生き様を表現されている。ジャンルやスタイルは違いますが、今市隆二も生き様を歌うボーカリストでありたいと思っています」
(ライター・小松香里)
※AERA 2024年6月17日号