風柱・不死川実弥。「柱稽古編」公式HPより (C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
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【※ネタバレ注意】以下の内容には、アニメ、既刊のコミックスのネタバレが一部含まれます。

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 柱稽古が順調に進み、アニメ5話目では恋柱・甘露寺蜜璃と、蛇柱・伊黒小芭内、そして風柱・不死川実弥の訓練の様子が描かれた。炭治郎と善逸の面白みも加わり、楽しいシーンが多く見られるなか、不死川兄弟の再会では、深刻な空気がただよった。大きく成長した弟・玄弥を見ても、兄の実弥は厳しい態度を変えようとしない。果ては、玄弥に対して「目潰し」の攻撃まで…。なぜ兄弟はすれ違ってしまうのか。柱稽古中に起きた、不死川兄弟の「会話」から考察する。

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不死川実弥の「風柱」としての顔

 厳しい柱稽古が進む中、柱たちの隊士への思いが少しずつ明らかになっている。元音柱・宇髄天元は、鬼を恐れる者たちに新たな気づきを与え、霞柱・時透無一郎は、実戦における命のやりとりの緊張感をあらためて教えていた。

 恋柱・甘露寺蜜璃は優しく明るい様子ではあるのだが、稽古では本当に手加減ができているのか、「地獄の柔軟」を見ていると少し怪しくはある。それとは対照的に、処刑場を彷彿(ほうふつ)とさせるような状況で稽古をつけながら、隊士への気づかいをみせるのは蛇柱・伊黒小芭内だった。柱の個性もさまざまだが、いずれも隊士への思いやりがあった。

 しかし、風柱・不死川実弥の訓練は過酷だった。打ち込み稽古で見せる彼の剣技は圧倒的で、炭治郎たちの傷はますます増えていく。善逸が「命にかかわる 殺されるっ」と、ふだん以上に絶叫するのも納得の内容だった。

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植朗子

植朗子

伝承文学研究者。神戸大学国際文化学研究推進インスティテュート学術研究員。1977年和歌山県生まれ。神戸大学大学院国際文化学研究科博士課程修了。博士(学術)。著書に『鬼滅夜話』(扶桑社)、『キャラクターたちの運命論』(平凡社新書)、共著に『はじまりが見える世界の神話』(創元社)など。

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