見る人を楽しませる、女性皇族の装い。そして、その華やかさのアクセントになっているハンドバッグなどの小物からは、皇族方それぞれの「個性」がうかがえるという。ファッションの専門家の目を通して、女性皇族の装いに目を凝らしてみよう。
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正統派ロイヤルの「お手本」とも言えるのが、皇后雅子さまと長女愛子さま、そして秋篠宮家の次女佳子さまだろう。
今年4月に東京・赤坂御苑で開催された春の園遊会。ファッションジャーナリストの宮田理江さんが、女性皇族方の装いのなかで特に着目したのが、雅子さまとふたりのプリンセスのクラッチバッグだ。
洋服と色調や布地のトーンを合わせたバッグに、行き届いた意識を感じたという。
クラッチバッグは「クラッチ」という英語の「握る」「つかむ」という意味の通り、片手でつかみ、体の横の位置で持つのが一般的だ。
しかし、園遊会での雅子さまやおふたりのプリンセスは、両手で体の正面の位置で固定。そうすることで両脇が締まり、手がぶらぶらと遊ぶことがないために品の良さが際立っていたと、宮田さんは指摘する。
そして、雅子さまがお持ちだった横長のクラッチバッグは、意匠糸やリボンなどで布地に刺繍を施すコード刺繍のようにも見えた。高級感があり、ジャガード織で仕立てられたスーツとも調和していた。
宮田さんによると、縦糸で仕立てられるゴブラン織や、縦糸と横糸で精密に表現するジャガード織といったクラシカルなモチーフが、モードの世界ではしばらく前から再評価されているという。
「モードの世界では、こうしたファストファッションの対極にある仕事を含む伝統工芸の技術が再評価を受けて、さまざまな形で取り入れられています。世間では、ゴブラン織やジャガード織の上着からバッグのような面積の小さい小物まで、いずれも伝統美に根差した高級感を感じさせる装いとして人気があります。もっとも皇室の方々は、もともとその魅力を十分にご存じでおられるはず」
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女性皇族方が手にする白い手袋も、装いのアクセントのひとつだ。
クラッチバッグ派の雅子さまと愛子さま、佳子さまは、園遊会ではバッグとはさみ持ちで手袋の白をさりげなく忍ばせていた。チェーンバック派の紀子さまや信子さま、彬子さまは片手に持ち、白のアクセントが際立っていた。
そしてセンスが光っていたのが、高円宮家の久子さまと承子さまだ。
久子さまは、タイトなラインの青いセットアップに、バッグのチェーン部分を握り、体の横に提げていた。きれいな縦のラインが引き立つ装いとなっていた。
承子さまは、久子さまをお手本とされているのか、バッグのデザインも持ち方も久子さまとよく似ていたという。宮田さんは、
「手袋をバッグのチェーンと一緒に片手で握っていらっしゃる。アクセントになっている白い手袋に動きが加わり、とてもよいですね」
と話した。
装いからうかがえる、女性皇族方の「個性」。次にお出ましになる機会が楽しみだ。
(AERA dot.編集部・永井貴子)