重要なのは「緊急性」の有無

 松阪市の3病院でも、すでに外来患者で紹介状がない場合は7700円を徴収している。今回は、市と病院、消防で協議を重ねた上で、ルールにのっとってその枠を広げたに過ぎない。だが、市が方針を公表したため、市の独断専行かのように思い込んだり、選定療養費の義務化を知らない市民から、勘違いに基づく意見や批判的な声が寄せられた。 

「救急車を有料化するとはどういうことか」
「有料なら119番通報をためらってしまうかもしれない」

 ほとんどが誤解や不安の声なのだが、市の担当者は「有料化ではないことなどをご説明しても、なかなか理解していただけません」と困惑する。さらに、「入院しなかった軽症の患者」が対象、との報道も「入院しなかった場合は必ず7700円を取られる」という市民の誤解を生んだようだ。

「入院しなかった患者さんから一律で7700円を徴収するということではありません。それはまったくの誤解です。救急車を呼ぶ緊急性があったのか、必要がなかったのかについて、医師と病院側が個別に判断していくことになります」(担当者)

  徴収の枠の拡大に踏み切った背景には、救急出動件数の増加による医療現場の逼迫がある。全国的に問題になっているが、松阪市をカバーする松阪地区広域消防組合は、23年の救急出動件数が1万6180件で2年続けて最多を更新した。一方で市が22年に行った調査では、平日の日中に3病院に救急搬送された人のうち、入院した人は約50%。半数は入院の必要がなかった。

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救急車を「送迎」に使う人もいる