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 外見至上主義とも訳される「ルッキズム」という価値観が、若い世代を中心に広がっている。「見た目が何より大事」と「キッズ整形」も増加している。どうすれば過剰なルッキズムから抜け出すことができるのか。AERA 2024年6月10日号より。

【AERAが実施したアンケート結果を見る】「ルッキズム」についてさまざまな意見が寄せられた

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“見た目が何より大事”という価値観から「キッズ整形」に向かう若い世代も増えている。NPO法人「マイフェイス・マイスタイル」代表の外川浩子さんは、

「18歳未満の整形は保護者の同意書があれば可能ですが、書面だけでなく一緒にカウンセリングを受けるなどの制限をする必要があると考えています。その際には、整形外科医だけでなく、メンタルの専門家も交えることが重要です」

 と警鐘を鳴らす。

 どうすれば、過剰なルッキズムから抜け出すことができるのか。石巻専修大の高橋准教授は、こう指摘する。

「こうした状況のなかで『外見なんて気にしなくていいよ』と言われても、悩みの解消にはつながりません。それよりも外見に関するコミュニケーションを変えていくことが大切です」

なぜ「美しい」と思うのか、現代社会に根づく美の規範

 特に若い年代は、周りの声に影響されやすい時期であり、コミュニケーションはより重要になる。以前、高橋准教授がインタビューした摂食障害に悩む女性は、幼い頃に母親から「ぽっちゃりさん」と言われたことが傷になっていた。何げない一言が子どもの人生を大きく左右することは知っておく必要があるという。

 ルッキズムに苦しむ人が増えている一方で、その状況を打破しようという動きも出ている。メディアでは、プラスサイズモデルが活躍。20年9月には、署名サイト「Change.org」で履歴書から顔写真をなくすことを求める署名活動が立ち上がり、わずか2週間で1万2千筆が集まった。署名活動に賛同した前出の外川さんは、こう訴える。

「顔の変形やあざなどに悩む方だけでなく、見た目に症状のない人からの声も多かった。ルッキズムの最大の問題は背景に隠された昔から今まで残る、いわゆる古典的な差別意識があることです。痩せているとか、色が白いとか、顔が小さいといった現代社会の美の規範がどこから生まれたのか、考えてみてほしい」

 誰もが、ありのままの自分と相手を尊重できるように──。SNS時代の大きな課題だろう。(編集部・福井しほ)

AERA 2024年6月10日号より

AERA 2024年6月10日号より抜粋