広島の新井監督
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 首位から5位まで3.5ゲーム差の混戦で、目まぐるしく順位が変動しているセ・リーグ。6月1日までは首位で2日終了時は2位。巨人阪神と激しく首位争いを繰り広げているのが、新井貴浩監督率いる広島だ。

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「この戦力でよくやっていますよ。正直、今年は優勝争いが厳しいと感じていました」
 と語るのは広島のテレビ局関係者。
「昨年は2位に躍進しましたが、オフに目立った補強がなく、西川龍馬がオリックスFA移籍したことで戦力ダウンしたという見方が多かった。多くの野球評論家がBクラス予想をしていましたが、蓋を開けてみれば守り勝つ野球がより強固になっている。混戦が続けば、攻守で精度が高い広島が頂点に立つ可能性は十分にある。選手の心をがっちりつかんでいる新井監督は名将の雰囲気が漂います」

 パ・リーグの最下位に低迷している西武は、交流戦前に松井稼頭央監督の休養を発表した。大型連敗を繰り返したため球団フロントは決断を下したが、松井監督と同様に昨年から就任した新井監督は、対照的に評価を高めている。

 新井監督は就任した際、ナインに向けて「好き嫌いでの起用を絶対にしない」、「おまえたちはカープという大きな家にいる。だから家族同然だと思っている」と語っている。

 新井監督の凄さは有言実行していることだ。
 固定観念にとらわれない起用法で、チームに刺激を与え続ける。昨年は4番で起用していたライアン・マクブルーム(現・米独立リーグ)、西川龍馬(現オリックス)が打撃不振や故障で離脱すると、チャンスメーカーの菊池涼介や上本崇司を起用。「つなぎの4番」が機能し、首位に浮上した時期も。
 今季は開幕から4番で起用していた堂林翔太の状態が上がらず、新外国人のマット・レイノルズ、ジェイク・シャイナーが開幕早々に故障で戦線離脱と誤算が相次ぐと、小園海斗を4番に抜擢。他球団の4番を見渡すと岡本和真(巨人)、村上宗隆ヤクルト)、大山悠輔(阪神)、牧秀悟(DeNA)、細川成也(中日)とパワーヒッターが並ぶ中、小園は決して4番タイプではないが、4割近い得点圏打率で勝負強さを発揮。切れ目のない打線を象徴する存在になっている。

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