松本明子さん(57) タレント/1966年生まれ、香川県出身。アイドル歌手としてデビュー後、バラエティー番組などで活躍。昨年、『実家じまい終わらせました!』(祥伝社)を刊行(写真:ワタナベエンターテインメント提供)
松本明子さん(57) タレント/1966年生まれ、香川県出身。アイドル歌手としてデビュー後、バラエティー番組などで活躍。昨年、『実家じまい終わらせました!』(祥伝社)を刊行(写真:ワタナベエンターテインメント提供)
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 31日放送の「中居正広の金曜のスマイルたち」(TBS・金曜午後8時57分)は「同業さんいらっしゃい 芸能界勤続35年超!消えない天才の仕事術」と題し、長年芸能界で活躍する関根勤・野々村真・松本明子・勝俣州和・島崎和歌子らがゲスト。“消えない”芸能人のひとり松本明子の過去の人気記事を振り返る。(「AERA dot.」2023年5月19日配信の記事を再編集したものです。本文中の年齢等は配信当時)

【相続】松本明子さんからの「アドバイス3カ条」がこちら

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 相続で想像外のトラブルや支障が起きることも少なくない。タレント・松本明子さんも実家の相続で思わぬ事態に発展した。松本さんに経験談とアドバイスを聞いた。AERA 2023年5月22日号の記事を紹介する。

「明子、実家を頼む」

 死の床でこう言い残して逝った父親。

「この言葉が肩にずっしり重くのしかかっていました」

 タレントの松本明子さんはしみじみと実家を手放す決断の難しさを振り返った。

 松本さんが歌手デビューしたのは1983年。デビューから10年近く経ち、バラエティー番組で人気に火が付いた。「これでやっと親孝行ができる」。香川県の両親を東京に呼び、3人暮らしをスタートした。当時は実家を処分することは全く考えていなかったという。

「両親はいずれ四国に戻ることを考えていたと思いますし、浮き沈みの激しい芸能界で娘のために実家を置いといてやれば安心できる、という考えもあったと思います」

 父親には生涯かけて働いたお金で建てたマイホームへの思いも強かった。松本さんには10歳上の兄がいるが、父親は松本さんに実家を相続してもらいたいと考え、遺言状も残していた。このことは兄も承諾しており、相続でもめることはなかった。ところが思わぬ、「負債」を背負うことになる。

 父親は松本さんが37歳の時、74歳で亡くなった。その4年後の2007年に母親も他界した。その後、実家の価値は建物がゼロ、土地のみで「200万円」と査定された。松本さんは実家のリフォームに取り掛かる。東日本大震災を経験し、東京に住めなくなった時に移住先を確保しておこうと考えたのだ。

■自分が片付けなきゃ

 リフォーム代は計600万円かかった。だが、仕事や生活の中心は東京のまま。結局、「移住」は幻になる。親族から「本腰を入れて処分を考えた方がいい」と言われ、東京で生まれ育った息子も香川に住む動機は芽生えず、これ以上、実家をキープしておく意味はないと判断した。

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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