とはいえ今のような円安がこれからも続く保証は必ずしもない。ドル・円相場が一時1ドル=160円台をつけた4月や5月には、政府・日銀が円安に歯止めをかけるため大規模な円買い・ドル売り介入を実施したとみられ、介入への警戒感が円安の上値を抑えている。
今の円安・ドル高の流れを作ってきた日米両国の金利差も少しずつ縮小している。日本銀行は3月のマイナス金利解除後、追加利上げや緩和策の縮小に踏み込むとの見方が強くなってきた。一方の米連邦準備制度理事会(FRB)は利下げの時期を探っている。
「円安頼み」の増収・増益
田代さんは続ける。
「4月1日発表の日銀短観の24年度の想定為替レートは全規模全産業で1ドル141円でした。主要企業の想定レートなども合わせて考えると『円安頼み』の増収や増益への修正が期待できるのは同145円前後の水準でしょう」
こうした状況を踏まえて田代さんが注目しているのが上の銘柄だ。その中でも新NISAを通じて比較的長く保有することを想定して選んでもらった。
田代さんがまず挙げたのが、産業用モーター大手のニデックだ。円安が追い風になる企業の一つだが、最近は「イーアクスル」と呼ぶ電気自動車(EV)駆動装置の不振により株価は低迷していた。
だが田代さんは、今回の決算でそのEV事業を大幅に絞り込み、AI(人工知能)関連の新事業に注力する姿勢を示したことに期待を寄せているという。今回、稼働時にたくさんの熱が生じるAI半導体を冷やす装置の需要が急増し、増産体制を整えていることが紹介された。