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 Z世代の女性向けエッセイ投稿サイト「かがみよかがみ(https://mirror.asahi.com/)」と「AERA dot.」とのコラボ企画は第2弾。「わたしと『母親』」をテーマに、エッセイを募集しました。多くの投稿をいただき、ありがとうございました。
 投稿作品の中から優秀作を選び、「AERA dot.」で順次紹介していきます。記事の最後には、鎌田倫子編集長の講評も掲載しています。
 ぜひご覧ください!

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母親に「産まなきゃよかった」と言われるのが普通のことではないと気がついたのは、高校1年生のときだった。
 

◎          ◎ 

母親は、わたしを褒めることが無かった。

小学一年生のときに父親が出ていってから、母親はいつも忙しそうだった。数少ない顔を合わせる時間でも、母親の怒った顔しか思い出せない。

わたしは勉強も運動もよくできる方の子供だったが、小学5年生のとき、どうせ誰も見てくれないからと、もらった賞状をすべて破いて捨てた。

それでも、心のどこかでずっと母親に認めてほしかったから、一生懸命に勉強して、地元で一番の女子高に入学した。そこでわたしを待っていたのは、承認ではなく、いっそう自分が惨めに思われる現実だった。

苦心して入ったお嬢様学校では、自分のような片親家庭など存在しないどころか,親が医者、弁護士、会社の役員というのがザラだった。

余裕のある親に育てられたかわいく真っ直ぐな女の子たちは、もちろん親から殴られた事もないし,暴言を吐かれた事もないと言った。
 

◎          ◎ 

高校が私にとって息苦しい場所になるには、その事実だけで十分だった。高3になる頃には高校にほとんど行かなくなったわたしは、性懲りもなく勉強に明け暮れていた。

できるだけ遠い、地方の国立大学に進学して、実家を出たい。

そんな一心で勉強に明け暮れ、18歳で母親の元を出た。
 

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