Z世代の女性向けエッセイ投稿サイト「かがみよかがみ(https://mirror.asahi.com/)」と「AERA dot.」とのコラボ企画は第2弾。「わたしと『母親』」をテーマに、エッセイを募集しました。多くの投稿をいただき、ありがとうございました。
投稿作品の中から優秀作を選び、「AERA dot.」で順次紹介していきます。記事の最後には、鎌田倫子編集長の講評も掲載しています。
ぜひご覧ください!
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この世で1番近い存在とも言える「お母さん」。おぎゃあと産声を上げたときからずっと隣にいる。もっと言えば、生まれる前からずっと一緒。同じ親でも「お父さん」とはまたちょっと違う関係性なのが不思議な存在。
わたしは「お母さん」と聞くと、ある人のことを思い出す。それはわたしが大学に入学したばかりの話だ。
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わたしは大学の軽音サークルで、ある女の子と出会った。(ここでの名前は「みいちゃん」としておく)
みいちゃんは笑いのツボがわたしとよく似ていたので、一緒にいてとても心地がよかった。みいちゃんと話しているのが本当に楽しかった。1つだけわたしとみいちゃんの違うところがあるとしたら、「お母さんの話をよくする」ということだった。
京都旅行で食べたあんみつに乗っているあんこを見て「お母さんはね、粒あんが食べられないの。こしあんしか食べられないんだよ」と言う。また、野良猫を見て「お母さんはね、猫はあんまり好きじゃないの。でもね、犬は大好きなんだよ」と言う。
わたしは、みいちゃんがお母さんの話をするたびに「ふうん、そうなんだね」と、それっぽい相槌を打った。わたしはあんまり友達に自分の親のことを言ったことがなかった。別に、他人の親のことを聞かされたとしても興味も関心も無いだろうなと思っていたからだ。「きっとみいちゃんは子どもの頃からお母さんと仲良しなんだ」と、それぐらいにしか思っていなかった。