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「人が本当に亡くなるときは、誰かに忘れられたとき」

わたしは過去にこんな言葉を聞いたことがある。きっと、みいちゃんもお母さんのことをいつまでも忘れないように頑張っていたんだよね。

大学を卒業してからは、みいちゃんに会うことは無くなった。みいちゃんは今、一体どこで何をしているだろう。もしも、またみいちゃんに会うことがあったら、きっとお母さんの話をしてくれるだろう。そしたら、わたしは彼女にこう言いたい。

「さすが、みいちゃんのお母さんだね」。
 

「AERA dot.」鎌田倫子編集長から

 誰にとっても親は唯一無二の存在だということ。そのあたりまえのことを表現するのに、ほとんどの人が自分自身の経験、自分の母親のことを書く、つまり自分語りで表します。特にエッセーは主観で書くものだという先入観が、私にもあります。

 しかし、磯山カナさんはお題を外側から眺めています。その視点がユニークで、才能だなと感じました。

 物語の紡ぎ手の視点に通じるものがあります。磯山さんの友人への優しいまなざしも伝わり、読後感もいい作品でした。
 

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