2015年11月20日、経団連は新卒採用面接の解禁を8月1日から6月1日へと、2ヵ月前倒しすることを正式表明。大学3年生にとって、「来年度の就活スケジュール変更」はどのような影響を与えるのだろうか。キャリア支援スクール「我究館」の熊谷館長にうかがった。
●面接解禁2ヵ月前倒しで何が起こるのか?
経団連の正式表明を受けて、新卒採用のスケジュール変更が決定した。面接の解禁日が前倒される。2015年が8月1日だったのを来年、2016は6月1日にする方針だ。なお、説明会などの広報活動は、今年と変わらずに3月1日のままだ。
これによって大学3年生の就活(2017年卒)はどう変わるのか。知っておきたい、いくつかのポイントを解説しておこう。
●年明けから本選考のラッシュ?半年間、走り続ける就活生が増える。
年明けから外資、ベンチャーの内定が出はじめ、3月頃から中堅企業の内定が続く。例年のスケジュール通りだ。これらの企業を受ける学生は、年明けから説明会参加、企業研究、筆記対策、OBOG訪問、エントリーシート作成、面接と多忙な時間を過ごすことになる。
就活を終えた(学生がほとんどである)今の大学4年生(2016年卒)の場合は、年明けの選考の山から面接解禁の8月まで、半年近くあった。しかし、今の3年生の場合は、その期間が2ヵ月短い。中堅企業の選考が落ち着くのを待たずして、大手の選考に突入してしまうのだ。
3月の広報活動の解禁から6月まで、わずか3ヵ月。その間に、企業は説明会参加から面接までの準備を急ピッチで行うことになる。20~30社の企業にエントリーする学生が多いので、この間の忙しさは、想像に難しくないだろう。
まとめると、
・1~3月は外資、ベンチャー、中堅企業の選考
・3~6月は大手企業の選考
過密なスケジュールが年始から待ち受けている。
●水面下の選考も激化する
激化するのは、ここまでで解説した「表向きの採用」だけではない。「水面下の採用活動」も行われる。インターンシップ、OBOG訪問、リクルーター面談、説明会など、企業との接点がすべて採用の場となっている。こうした活動は、2016年卒でも行われていた。
参考までに、就職活動を終えた4年生の体験を紹介しよう。
「インターンシップに参加した学生の中で、能力を認められた学生は、選考なしでいきなり内定をもらっていた(東京理科大学 男子学生)」
「インターンのグループワークで優勝したチームメンバーは全員、選考の一部が省略された(上智大学 男子学生)」
「説明会を機に、リクルーターの方が定期的に連絡をくれるようになった。そこからは2週間に1回会社に呼ばれ、人事や社員の方と会っていた。内々定は面接の解禁日に即日もらえた。(立教大学 男子学生)」
表向きの選考活動だけでなく、企業との接点はすべて選考になる。結果的に短期決戦になった2016年卒の採用活動。限られた時間の中で、学生も企業もマッチングをしなければなくなっている。時間がないからといって、おろそかにはできない。一つひとつを真摯に取り組んでいきたい。