ひと安心か――、そう考えていた矢先に起こったのが、今回の獣害事件だ。現場は8年前の第1、第2の襲撃現場から望める場所だという。
「過去の教訓を忘れないで」
「8年前、警察や消防はヘリを投入し、現場付近をなめるように飛行して加害グマを捜索した。すると、ヘリの爆音に驚いて子連れの赤毛グマが逃げる姿が目撃されました。人喰いクマが移動することにより、別の場所でも人身被害が発生するのでは、と心配していたら、8年前はその通りになった」
今回も、捜索のためにヘリが投入された。ヘリに驚いて人喰いグマがすみかを移動すれば、被害が拡散する恐れも出てくる。
人肉の味を覚えたクマが増え、移動して危険地帯が広がれば、人々がさらされる危険が増える。
「第二の『十和利山事件』には、決して起こってほしくない。どうか、過去の教訓を忘れないでほしい」
そう、米田さんは訴えている。
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)