それから3年後、次女は別の病院でさらに10万円かけて二重の再手術をした。メンテナンスがずっと続くとしても、毎月数千円のネイル代や美容室、脱毛、習い事をするのと同じようなものだと親子は納得している。
Bさんも言う。
「私の親は賛成でしたが、もし親に止められたとしても、髪を染めたり、化粧はどうなの?としか思わない。自分の顔を決めるのは自分。誰にも言われたくない。ただ、整形に依存してしまう危険もあるし、限度は親がわかっていたほうが良いと思う。それに子どもには、大切な存在だよと伝えてほしい」
整形した女性たちは、その理由について「自己満足のため」と口を揃えると谷本教授は言う。その言葉の裏に何が隠れているのか。
「美容整形は『若々しく』『あるがまま』など、知らず知らずのうちに社会から強制された考え方だけではなく、外見を加工することで内面を変えようとした結果でもある。髪型を変えたり、ダイエットやトレーニングで引き締まった体になったりすることと同じく、自分のアイデンティティーを形成するための選択です。近代以降、身体は自分の所有物になり、『親からもらった体に傷をつけるな』という否定は、本人には響きにくいかもしれません。ただ、親にも親の思いがあり、その選択に意見するのは真っ当なことだと思います」
我が子が整形を希望したら、どんな言葉をかけるのか。止めるのは親のエゴなのか。その問題をすぐ隣にある現実として考えなければいけない時代になっている。
(AERA dot.編集部・金城珠代)