渋谷ヒカリエ。かつては映画館やプラネタリウムがあった=2024年3月、東京都渋谷区
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 複雑で難解な構造で多くの人が迷うことから、「迷宮」や「ダンジョン」と呼ばれる駅がある。大阪の梅田駅と東京の渋谷駅だ。東西2大高難度スポットを比較しつつ、東の迷宮・渋谷駅の迷わない方法を考えたい。AERA 2024年5月27日号より。

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 東の迷宮は渋谷駅であるが、なぜ渋谷が複雑なのか。

 渋谷駅は梅田地下街と違い、横ではなく縦に広がっている。地下が5階層、地上が3階層あり、七つの路線の駅がある。どの駅の名も「渋谷」であるが、東急田園都市線は東京メトロ半蔵門線と、東急東横線は東京メトロ副都心線と直通運転をしているので路線名が変わるが一つの線路でつながり実質的には5路線である。同じ路線であるのに渋谷駅で名称が変わることが事態をややこしくしている。

 また、渋谷駅がすり鉢状の地の底にあるので地下鉄銀座線の駅が3階に、地上を走る東横線が地下5階にあり上下感覚を惑わせることもある。最大の課題は現在工事中であることだ。

「少し間があって渋谷に来ると風景が変わり、戸惑うことがよくあります」。そう話すのは長く渋谷に暮らす女性。

何か迷わない方法はあるのか。

「私の場合、渋谷スクランブルスクエア(東棟)を軸に駅と街を捉えるようにしています。JRからも銀座線からも行きやすく、わかりやすいからです」と先ほどの女性がアドバイスをしてくれた。スクランブルスクエアはすでに完成しているし、乗り換えも便利だ。「ここはサグラダ・ファミリアかというくらい工事が続いていますね。でもあちらはもうすぐ完成しますね」と続けて話した。

 開発が進み変化し続ける渋谷について、大阪駅のデザイン監修を行う建築家の岩田尚樹さんはこう話した。

「これまではエリアごとにそれぞれが開発されていて、統一感がなかった感じがしますね。今後、わかりやすく素敵な駅になってくれることを期待します。大阪駅は統一コンセプトを掲げてから35年間、それを継承しつつ改変を続けた結果として現在の姿がありますからね」

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