AERA 2024年5月27日号より

「大阪駅前もビルが立ち並び見通しがよいわけではありませんし、特徴的な造形のビルはあってもあまりに巨大すぎて目印にはしづらいかもしれません」と加藤さん。とすると梅田は地下だけでなく地上も迷いやすいのかもしれない。

 梅田の地下街が複雑なのは、「梅田」と名のつく駅がエリアに五つあることも理由の一つだ。「梅田」の名はないものの、JR大阪駅、JR北新地駅を入れるとその数は七つにのぼり、乗り継ぎが可能か否かで混乱が起こる。また、地下に入るとどちらが西で、どちらが東なのかも判別できなくなる。こうして迷い込んでしまうのだ。

 どう攻略すればよいのか。

「まずは電車から降りてどの改札口から出て、どの出口に行くかだけをしっかり確認しておくことです。余計なところには目もくれない。それが第一歩です」と加藤さんは力を込めて話す。

 地下街自体も迷いやすいが、出口の多さが拍車をかけていると加藤さんは言う。

「梅田にあるほとんどのビルが地下階を持ちそこから出入りすることもできます。地上への出口もあればオフィスの入り口もあり、完全にプライベートなものもあります」

 言い換えれば、どこからも入れて、どこからも出られるのだ。

 自分にとってスムーズに移動できるルートを覚えたら、次にどこにどのビルがあるのか、この出口を使うとどこに出るのかなど、地上部の状況を記憶に重ね合わせてみる。

「こうして頭の中でメンタルマップをつくり、上書きし続けていきます。頭の中で地図をイメージできると地下街も比較的移動しやすくなるはずです」と加藤さん。

 梅田の地下街とは直接関係ないが、大阪は歩くスピードが速いことも迷いやすい要因であると考えられる。

「流れに乗ってしまうと、どこに流れ着くのかわからないという状況になりますよね」と加藤さんも指摘する。

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