日本でも高い人気を誇るウィーン少年合唱団。初の来日公演から69年。今年も少年たちの澄んだ歌声が響く。AERA2024年5月27日号より。
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ウィーン少年合唱団が来日し、昨年に引き続き、4月から約1カ月半にわたって全国ツアーを行っている。
合唱団の始まりは1498年、ハプスブルク家出身の神聖ローマ帝国皇帝マクシミリアン1世によって結成された6人の少年聖歌隊だ。モーツァルトやブルックナーなど著名な作曲家と活動したほか、ハイドンやシューベルトが少年団員として歌っていたという歴史を持つ。
初来日は1955年。透明な少年たちのハーモニーは日本でも熱狂的な人気を集め、以来繰り返し来日公演が行われてきた。
日本から単身で渡墺
現在は9歳から14歳の90人が所属し、付属の学校で学びながら音楽教育を受けている。四つある組のうち今回来日したのは、合唱指揮者(カぺルマイスター)のオリバー・シュテッヒさんが率いる「シューベルト組」。来日3度目というシュテッヒさんは、期待を込めて話す。
「日本公演では毎回全国の会場がお客様でいっぱいになります。皆さんの歓迎のあり方、感動の表現、どれも特別なものです」
9歳から14歳の少年たちが並ぶと身長もまちまち。心身の成長期にある少年の指導は大変ではないかと思うが、カペルマイスターとして声の特徴を早くつかみ、ソプラノ1・2、アルト1・2というパートへ適切に配置していくという。
「子どもの声は常に変化していて、変声期はもちろん、そうでなくても2週間あれば声が変わってしまうこともあります。すぐに反応し、その子に合うパートへ移動させるのです。常にバランスをとって全体をまとめていかなくてはなりません」(シュテッヒさん)
団員の多くは、幼い頃から音楽に触れる環境で育ってきた。オーストリア出身のベンヤミン君(12)の家族も音楽好きだ。
「僕が入団したあとに母がシュテッヒ先生の指導する合唱団に入りました。父はロックバンドをやっていて、僕が6年くらい前にそこで歌った映像がユーチューブにアップされています」