前言撤回の“前科”も
また、ともにヨーロッパの大物バンドであるスコーピオンズとジューダス・プリーストには、フェアウェル・ツアーを行いながら前言を撤回し、その後も活動を継続しているという“前科”がある。気合を入れて始めたツアーが中断や延期を余儀なくされたり、「まだやれる」となって活動継続に至ったりと、それほどバンドの“終活”は見極めが難しいものらしい。
音楽評論家の伊藤政則さんは、こう話す。
「ビートルズだってストーンズだってKISSだって、ロックンロール・バンドをやり始めたときに、自分たちがそんな年になってまで続けているなんて誰も思ってなかったんだよ。みんな、今が楽しいからやってただけ。伝説のウッドストック・フェスティバルに出ているバンドたちを見て、彼らに終わりの日が来ることなんて、誰も想像していなかった。
俺は15年前から言ってきたんだよ。『どんなアーティストもいつまで見られるか分からない。だからファンも覚悟を持って、彼らの一挙手一投足を、見られるときに見ておかないといけない』って。それが今、現実になってるんだよ」
(ライター・高崎計三)
※AERA 2024年5月20日号より抜粋