ロックの誕生から約70年。80歳を迎えて意気軒高なストーンズがいる一方、“終活”を始める大物バンドも出てきた。リスナーの高齢化も進み、これからどうなるのか。AERA 2024年5月20日号の記事を紹介する。
【写真】マディソン・スクエア・ガーデンでライブをするKISS
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4月28日、アメリカ・テキサス州ヒューストンでローリング・ストーンズが北米ツアーをスタートさせた。昨年、18年ぶりのオリジナルアルバム「ハックニー・ダイアモンズ」をリリースした彼らは、ボーカルのミック・ジャガーとギターのキース・リチャーズが80歳、ギターのロン・ウッドが76歳。最年長だったドラマーのチャーリー・ワッツが2021年に80歳で亡くなった際にはバンドの活動継続を危ぶむ声もあったが、本人たちは何も気にしていないかのようにツアーに出ている。彼らがその活動を終える日は、果たして本当にやって来るのだろうかと思えるほどだ。
ストーンズは例外中の例外として、むしろもっと下の世代の大物バンドたちが、次々に“終活”に乗り出している。1974年にレコードデビューしたKISSは昨年12月、コロナ禍での中断もあって長く続いたファイナル・ツアー(間に2度の来日公演も行った)にようやく終止符を打ち、バンドとしての活動を停止。しかしすぐさま、以後はアバターとなって活動していくことがアナウンスされた。
KISSのように大団円を迎えてキャリアに終止符を打ったバンドは、実は幸福だ。KISSと活動時期がほぼ重なるエアロスミスは、やはり昨年フェアウェル・ツアーをスタートしたが、ボーカルのスティーブン・タイラーが声帯を痛めて中断。延期となっていたが、今年9月から来年2月までの新日程が発表されたところだ。