野田クリスタルさんが制作したゲーム「太ももが鉄のように硬い男てつじ」のプレイ画面(野田さんのYouTube公式チャンネル「もも鉄を実況プレイ【野田ゲー】」から)
野田クリスタルさんが制作したゲーム「太ももが鉄のように硬い男てつじ」のプレイ画面(野田さんのYouTube公式チャンネル「もも鉄を実況プレイ【野田ゲー】」から)

 中学に入ってからはゲームを作らなくなっていった。それから20代前半までは、ひたすらゲームをやり込んだ。いわゆる“ネトゲ廃人”だったという。

「ゲームをして満たされたい。それがすべてでした」

 でも、お笑いも、バイトもしなければならない。必死にゲームの時間を割いた。

 ずっとプレーヤーだった野田さんに転機が訪れたのは、25歳くらいのときだ。

「お笑いライブの企画で、ネタ以外の何かを作ることがあって、ゲームを作ってみようかと思ったんです」

 どうやって作るんだろう。調べて、プログラミングをやってみることにした。

 まるで暗号のような英数字を打ち込む。一つ一つの動作に指示を出して、ゲームを組み立てていく。

「プログラミングは、パズルなんですよ」

 コードを書いて、動作させる。でも、コードを1文字書き間違えただけで、エラーが出る。エラーを見つけては消していく。

 わからないことを掲示板で書き込んでは、「ggrks(ググれカス)」と書かれる。

 作業を繰り返してなんとか完成させたのは、文字と野田さんの顔写真だけが出てくるような素朴なゲームだった。

「それをライブに出演した芸人にプレーしてもらったら、ネタより受けたんです」

 それからは燃えた。こんなゲームを作ったら、盛り上がるんじゃないか。ゲームを作る芸人はいないから、開拓し放題じゃん。考えたら落ち着かなくなった。

 ゲームを作っては、ライブ会場で芸人にプレーしてもらった。すると、必ず受けた。バグが発生することもしばしば。

「これをすると、何もしなくてもクリアしてしまう」と致命的とも思えるバグが判明したときも、「なんだこれ」と笑いに変わった。

■先輩芸人の一言で再開

 シューティングゲームなのに、「この場所にいれば、弾が当たらない」と判明したときも、会場で笑いが生まれた。急きょ「ここにはいないでください」と新しいルールを作っていく。

「むしろライブの現場で、バグが見つかるのが、結構面白かったりして」

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