武者陵司さん/投資ストラテジスト(写真:本人提供)
この記事の写真をすべて見る

 バブル後最高値を更新し、4万円超えも達成した日経平均株価。現在は下落に転じているが、右肩上がりの基本トレンドに変化はあるのか。1980年代のバブルも経験した投資ストラテジストの武者陵司さん(74)に聞いた。AERA 2024年5月20日号より。

【写真特集】こんな人まで撮影できたの?表紙の意外な大物たち

フォトギャラリーで全ての写真を見る

*  *  *

 1980年代のバブル時は大手証券会社の駐在員としてニューヨークにいました。外から日本を見ていて、理屈に合わない投機ゲームは長続きしないと冷ややかに見ていました。

 しかし、バブル崩壊後、日本株は逆に売られすぎてしまい、本来の価値より価格が低くなる「マイナスのバブル」に長らく陥っていました。ですから今起こっていることは、この過剰に値下がりした分が正常化しているプロセスです。

 まだ途上ですから、これからまだまだ上がっていきます。投資に対するリターンを意味する「株式益回り」で見ると、日本株のフェアバリュー(適正価格)は今でも「6万~8万円」でもおかしくありません。「4万円」は割安です。

 バブル以前は投資のリターンなど考えもしなかった日本企業ですが、ずいぶん筋肉質に変わりました。低株価を放置している企業にペナルティーを与えるコーポレートガバナンス改革が功を奏しましたし、2010年代後半に円安が進む過程でグローバルなビジネス展開への転換にも成功しました。

 加えて、外部環境の劇的な変化があります。冷戦崩壊後、「日本たたき」を展開していた米国が、「円安」を容認するなど逆に日本を強くしていこうとする方向に動いているのです。

半導体で再びハブに

 原因は「米中対立」です。

 この30年、ハイテク製造業の拠点がずいぶん日本から中国や台湾、韓国に移り、その結果、いつの間にか中国がハイテクのサプライチェーンで大きな地位を占めるようになりました。しかし地政学的に見ると、米国にとってこの状態では中国に首根っこを押さえられてしまいます。ハイテク分野で中国を排除していく必要が出てきて、代わりの製造拠点に選ばれたのが「日本」なのです。

著者プロフィールを見る
首藤由之

首藤由之

ニュース週刊誌「AERA」編集委員。特定社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー(CFP🄬)。 リタイアメント・プランニングを中心に、年金など主に人生後半期のマネー関連の記事を執筆している。 著書に『「ねんきん定期便」活用法』『「貯まる人」「殖える人」が当たり前のようにやっている16のマネー 習慣』。

首藤由之の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
ニューバランスのスポーツウェアがAmazonセールで30%OFF!運動時にも普段にも役立つ機能性ウェアは何枚でも欲しい♪
次のページ