※写真はイメージです。本文とは関係ありません(masamasa3 / iStock / Getty Images Plus)

 周囲に、あなたの時間・エネルギー・タイミングを奪う人はいないだろうか? 90万部を突破した人気シリーズ『頭に来てもアホとは戦うな! 賢者の反撃編』から、理不尽で不愉快な存在との対処法を一部抜粋で解説する。

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向かうべき戦いを選べ

 Don't fight every battle.――向かうべき戦いを選べ。

 私の好きな言葉である。政治家になって国務省の招待を受け、アメリカで研修を受けたときにアメリカの高官から学んだ言葉だ。

 その要旨は次のとおりだ。エネルギー溢れる若いうちに高い志を持って政治家になったあなたは、「あれも解決したい」「この政策も改善したい」と毎日毎時その不満の原因になっている課題に立ち向かいたい気持ちがあるだろう。

 でもすべての戦いに勝つのは大変だ。どの戦いもつながっている。どの戦いに挑むのかを選ぶことであなたの大きなゴールの結果は変わる。

 ある戦いに挑むことは別のより大事な戦いを不利にするかもしれない。別の戦いを選ぶことで他の3つや4つの戦いにまとめて勝利することになるかもしれない。

 何より、あなたのエネルギーをもってしても全部の戦いに勝つことはできない。つまり、不満を持ってもまずはグッと我慢し、全体を見てどの戦いに向かうことが最も上手に戦うことになるのかを冷静に見きわめるべきというのだ。

  聞いた時には腑に落ちたが、エネルギーが有り余っていて、思慮に欠ける若い自分は、戦いまくってしまった。あらゆる相手に向かっていってしまい、結局最後は自分の首を絞めた。他人の目も気にした。「なぜ黙っているのですか」とかメディアや友人知人に言われ、ここで発言・行動しないのはカッコ悪いと、もっと大きな目標達成のためには敵にしてはいけない人を敵にしてしまった。

 ビジネスでもそれはいえる。イノベーションのジレンマで有名な故クレイトン・クリステンセン教授が「消費者の声を聴きすぎてもいけない」と言っているが、その通りである。過剰サービスや過剰クレーム対応がビジネスではない。ここでも全体のゴールを見て向かうべき戦いを選ぶのだ。何と言われようが、戦いを選べ。長い人生戦い続けていては体がもたないし、敵を作り、家族や友人含めて何のための人生かわからなくなる。

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田村耕太郎

田村耕太郎

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)/国立シンガポール大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授。ミルケン研究所シニアフェロー、インフォテリア(東証上場)取締役、データラマ社日本法人会長。日本にも二校ある世界最大のグローバル・インディアン・インターナショナル・スクールの顧問他、日、米、シンガポール、インド、香港等の企業のアドバイザーを務める。データ分析系を中心にシリコンバレーでエンジェル投資、中国のユニコーンベンチャーにも投資。元参議院議員。イェール大学大学院卒業。日本人政治家で初めてハーバードビジネススクールのケース(事例)の主人公となる。著書に『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』(マガジンハウス)、『野蛮人の読書術』(飛鳥新社)、『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版)など多数

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