※写真はイメージです。本文とは関係ありません(gorodenkoff / iStock / Getty Images Plus)

 周囲に、あなたの時間・エネルギー・タイミングを奪う人はいないだろうか? 90万部を突破した人気シリーズ『頭に来てもアホとは戦うな! 賢者の反撃編』から、理不尽で不愉快な存在との対処法を一部抜粋で解説する。

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日本のハラスメント問題はなぜ深刻なのか

 アホが取りがちな行動の一つに、ただ自分の優位性をひけらかしたいばかりに、ハラスメントを行うことがある。海外でもパワハラやセクハラはあるが、日本ほど深刻な問題とはなりにくい。その最大の理由は「ハラスメントが酷ければ辞めるだけ」だからだ。

 居心地の悪い場所に、自分を殺してまで頑張って居座る人はほとんどいないのだ。いい職場でも、次のキャリアアップのステップを目指して3〜4年でいなくなるのが普通だ。日本の企業社会も昔と比較したらモビリティ(流動性)が出てきたが、まだまだだ。

 まだ日本では新卒でせっかく入った会社だからと辞めない人が多い。だからアホは安心してあなたたちをいたぶるのだ。

 新卒至上主義も時間の問題でなくなるとは思うが、日本社会では中途採用へのリスペクトとフル活用がまだ遅れているのが現状だ。中途採用は新卒で入った会社の待遇を上回る場所がまだまだ少ない。

 実は、日本の大企業で新卒者でも、今やアジアの有望企業以下の給与待遇であり、欧米の一流企業に比べると一桁二桁少ないこともある。しかし、海外の情報が日本語にならないので、新卒至上主義はしぶとく残ってしまっているのだ。

 アホと戦わないために、思い通りの転勤や社外でキャリアアップできるモビリティを得るためには、社内でコツコツとした準備が必要だ。実績を出し続け、訴求効果の高い資格を取り、いいものが見つかるまでの貯えも準備しないといけない。

 無駄使いせず隙間時間には勉強して、会社では実績づくりに精を出す。アホ対策のためだと思うとこれらの努力はちょっとむなしく感じるかもしれないが、これらの努力はアホに関係なくあなたの人生を輝くものにしてくれる。

 社内に残っても社外に出てもあなたを助けてくれるものばかりだ。大きな意義を感じながらモビリティづくりを頑張ろう。世界では高度人材こそこういうたゆまぬ努力をやっている。その努力こそが、アホを退ける。

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田村耕太郎

田村耕太郎

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)/国立シンガポール大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授。ミルケン研究所シニアフェロー、インフォテリア(東証上場)取締役、データラマ社日本法人会長。日本にも二校ある世界最大のグローバル・インディアン・インターナショナル・スクールの顧問他、日、米、シンガポール、インド、香港等の企業のアドバイザーを務める。データ分析系を中心にシリコンバレーでエンジェル投資、中国のユニコーンベンチャーにも投資。元参議院議員。イェール大学大学院卒業。日本人政治家で初めてハーバードビジネススクールのケース(事例)の主人公となる。著書に『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』(マガジンハウス)、『野蛮人の読書術』(飛鳥新社)、『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版)など多数

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「自信オーラ」でアホを避ける?