「教育というのは、様々な要素が子どもたちに影響する分野です。だからこそ利便性だけで突き進まず、テクノロジーが学習にどう作用しているのか、大人が総合的に検証しながら進めてゆくことが不可欠でしょう」
デジタル技術に頼り過ぎてしまうと、物事を深く掘り下げて捉える習慣が損なわれてしまうのではないか—。堤さんは、そんな懸念も口にしました。
「(タブレットが)ないと自分で全部頭で考えないといけない。(タブレットが)あると問題を間違ったりすると説明があって少しずつ進められる」
これはICT機器の学校への配備を促す文部科学省の公式動画で、ある少女が語った言葉です。堤さんは「動画を観た時、デジタル教育が、ものを考える姿勢を二極化させることを示す、なんて象徴的なコメントだろうと、愕然としました」と言います。
「なぜなら、デジタル化の弊害を理解している世界的IT大手GAFAM幹部の大半は、自らの子どもを、昔ながらの授業を行う〝デジタルフリー〞の学校に通わせているからです」
「勉強の効率化」を合言葉として、ICT機器は流通し続けています。最新技術が教育業界を一大市場に変え、現場に深く根を張る。その結果、各種サービスを運用する企業群の権力を、必然的に肥大化させる事態にもなっているのです。
プラットフォーム企業との不均衡な関係
一方で、ネット上の検索エンジンを巡っても、サービスの提供者側と利用者側との間に不均衡な関係が築かれてきました。
検索結果の表示順は、グーグルなどプラットフォーム企業のアルゴリズム(計算手段)に左右されます。更に、SEO(検索エンジン最適化)対策を講じる情報発信元企業の取り組みにより、上位に配置されるサイトの顔ぶれも変動するのです。
アルゴリズムの詳細は、公開されないのが一般的です。そのため、プラットフォーム企業の意向が強く働きやすいと言えます。信憑性が疑わしい反面、人目を引く記述を多く含み、検索に引っかかりやすいサイトが目立ってしまう……。