(写真はイメージ/GettyImages)
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 世界中で事業を展開する巨大IT企業群。「利便性」「効率性」を唱えて教育業界にも参入してきた。国際ジャーナリスト・堤未果氏は、学びのデジタル化が子どもたちに及ぼしうる、負の影響について指摘する。便利さの追求の果てに、未来を担う世代から奪われかねないものとは何か。神戸郁人氏の著『うさんくさい「啓発」の言葉』(朝日新書)から一部を抜粋して堤氏の考察を解説する。

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 幼児教育でプログラミングが人気?

 近年、急速なIT技術の普及により、幅広い領域で進むデジタル化について考えたことがあります。特に教育分野では、小学校においてプログラミングが必修化されるなど幼い頃から関連スキルを養成する機会が着実に増えています。

 先日、幼稚園・保育園に通う幼児向けに、プログラミングの概念に関して、おもちゃで学べるサービスを提供している企業の関係者とやりとりする機会がありました。

 「おもちゃを活かした事業の経験は、これまでになかったんです。小学校入学前に、我が子にサービスを受けさせたい。そう考える親御さんからの問い合わせが止まりません」

 一昔前なら考えられない事態だと、担当者も驚いているようでした。デジタル化のネガティブな側面について、国際ジャーナリストの堤未果さんは、「技術には必ず、光と影の両面がある」と語ります。

 「自分の頭で考えないといけない」

 タブレット端末などで使う学習用アプリや、インターネットの検索機能は、ある問いへの最適解を即座に導き出してくれるものです。その一方で、集中力の欠如や思考の単純化といった、負の副産物をもたらしうることも意識する必要があるのだと、堤さんは述べます。

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タブレットがないと、自分で全部考えないといけない