「昆虫食」という言葉を聞いたことはありますか? 文字通り「虫を食べる」ということなので、知っていても一部の愛好家の話で自分には関係がないと思っている人がほとんどかもしれません。しかし将来的な食糧危機に備えるためにも、食べられる虫とおいしい食べ方を知っておいて損はないはず。また、災害の多い日本に住んでいる以上、"サバイバル力"は高いに越したことはないでしょう。
そこでおすすめしたいのが、ムシモアゼルギリコさん著『むしくいノート びっくり!たのしい!おいしい!昆虫食のせかい』です。虫食いライターとして活動するムシモアゼルギリコさんが、昆虫食に関する豊富な知識をまとめた一冊で、入手から調理、保存方法まで詳細に記されています。
実は世界的に見ても昆虫食は伝統的な食文化のひとつ。日本でも長野県でカイコやイナゴ、蜂の子などの佃煮が日常的に食べられてきた歴史があります。読者の中には「佃煮なら食べたことがある」という人もいるかもしれません。虫の見た目から心理的な抵抗はあるかもしれませんが、意外とおいしいんですよね。
同書ではまず初心者におすすめの昆虫食として「セミ」を紹介。夏の風物詩であるセミは、昔から食べられてきた"おいしい虫"なのだとか。
「カリッと揚げればナッツのようで、桜チップで幼虫をいぶせばソーセージを思わせる味と香り(中略)美食とされていた歴史もあり多くの人が口にするのも納得のおいしさなので、日頃から"むしくい初心者"にはセミをオススメしている」(同書より)
入手方法はみなさんもご存じの通り、虫網とカゴがあれば捕まえられます。おいしく食べるための調理方法は、同書によると以下の通りです。
1、下ごしらえに翅をむしる。
口あたりをよくしたい場合は、翅を取り除いて下ごしらえを。10秒ほど茹でてから翅の根本をつかんで回してねじり切る。キッチンばさみで切ってもOK。
2、"破裂防止"の穴をあける。
そのまま油に入れるとおなかの部分が破裂する場合がある。竹串や楊枝を使い破裂予防におなかに数か所穴をあけておくと安心(幼虫も同様)。
また、種類によって味が異なるそうで、アブラゼミは「木の香りが強いので、成虫・幼虫ともに"ナッツ"とよく似た味わい」、クマゼミは「『やや青臭い風味がある』と感じる人がいる」、ミンミンゼミは「うまみがしっかりあるので、とても食べやすい」とのこと。なんだか食べられそうな気がしてきませんか?
さらに長野県で食べられているカイコもやはり"おいしい虫"なのだそうで、佃煮以外にも炒ったり揚げたりして、すでに多くの人に食べられています。実はたんぱく質やオメガ3脂肪酸が豊富なので健康や美容にもいい食材なのです。
ここまで読んで「少し食べてみたいかも......」と興味をそそられた人におすすめしたいのが、カイコ入りフライパンポップコーン『飛んで火に炒る夏の虫』。黒こしょうで味付けされた長野県産カイコを加えたポップコーンです。スナック感覚で気軽にトライできてクセがなく食べやすいのがポイント。
製造・販売元である信濃毎日新聞は、信州発の昆虫食を国内外に発信する「昆虫みらいプロジェクト」を推進しています。
「これまで昆虫食という食文化に縁のなかった方々やネガティブに捉えていた方々に『ドキドキしたけど、食べてみたら意外とおいしい!』と感じていただけるような出合い・体験の場づくりに貢献したい」との想いから作られた『飛んで火に炒る夏の虫』は、信毎カフェ、信毎メディアガーデン、MADREのほか、長野県内道の駅の一部、ECサイト(47CLUB、Amazon)などで購入できます。
少しずつ注目度が高まっている「昆虫食」の世界。まだまだ抵抗がある人も多く、食卓に上がるのは先のことかもしれません。しかし未来の食生活を支える存在になる可能性も十分あります。この機会に、先んじて経験してみてはいかがでしょうか。
[文・春夏冬つかさ]