この春から就職や進学、引っ越しや一人暮らしなど新生活をスタートされた方もいらっしゃると思います。新生活に合わせて見直したい「防災対策」。いざという時に焦らず行動がとれるよう、誰もが実践しやすい防災対策についてまとめました。ぜひ早めに抑えておきましょう。

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いつどこで発生してもおかしくない地震や気象災害

今年2024年は、元日に石川県能登地方を震源とするマグニチュード7.6の地震が発生し、石川県志賀町では最大震度7を観測しました。元日の大地震という異例の事態となり、ご自身の防災意識に大きな変化があった方は多いと思います。

その後も能登半島周辺で震度5強以上の地震が相次いでいましたが、4月17日には豊後水道を震源としたマグニチュード6.6(暫定値)の地震が発生し、愛媛県や高知県で最大震度6弱の地震を観測しました。

政府の中央防災会議は、科学的に想定される最大クラスの南海トラフ地震(以下、「南海トラフ巨大地震」という)が発生した際の被害想定を実施しています。この被害想定によれば、南海トラフ巨大地震がひとたび発生すると、静岡県から宮崎県にかけての一部では震度7となる可能性があるほか、それに隣接する周辺の広い地域では震度6弱から6弱の強い揺れになると想定されています。また、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に10mを超える大津波の襲来が想定されています。

また、これから大雨シーズンにも入ります。いつどこで地震や大雨による気象災害や発生してもおかしくありません。長引く避難生活の中で、少しでも居心地を確保するにはやはり「日頃からの備え」があるとないとでは、大きな違いが出てきます。
新生活が始まったこのタイミングで、どんな対策をしておくと良いのか、実践しやすい防災対策についてまとめました。


スマホやPCから確認してみよう「ハザードマップ」で危険をチェック

まずは、自分の住む場所が大雨や地震が起きた際に、どういった危険があるのかを把握する必要があるでしょう。「ハザードマップ」で自分が住む町の危険を確認しておくことが大事です。

「ハザードマップ」とは、地震や大雨による土砂災害や洪水、浸水など、過去の災害データや地理情報をもとに、それぞれの地域で起こる災害を予測し、被害が及ぶと考えられるエリアを地図上に示したものです。自分が住む町の近くの役所や役場で入手できるほか、スマホやパソコンを使って、各自治体のホームページでも確認することができます。
国土交通省が運営する「重ねるハザードマップ」では、スマホやパソコンで現在地を入力し、災害の種別によってどれだけリスクがあるのかを確認することができます。例えば、「洪水」のリスクはどれくらいあるのか、「土砂災害警戒区域」が近い所はどのあたりなのかなど、災害別に確認することができるのでお勧めです。

いざ、大きな地震が発生した際には、どこが集合場所で、どのルートを通ると安全か、あらかじめ家庭で話し合っておきましょう。
普段通る道には、危険な場所などがないか確認しておくと良いでしょう。避難中に危険な目にあわないように、前もって周囲のリスクを知っておくことが大切です。


地震の際に多いのが家具転倒の負傷 家の中の見直しを

東京消防庁が実施した近年の地震被害調査によると、地震による負傷者の3割から5割が、屋内における家具類の転倒・落下・移動によって負傷しているということが分かっています。また、家具の転倒や落下だけでなく、ガラスの飛散などによって負傷した人も多く出ています。
大きな地震が発生した際に、本当に安心で安全な部屋づくりができているかどうか、新年度が始まった今のタイミングで早めに確認しておきましょう。

まずは、家具の転倒を防ぐことです。タンスや食器棚、本棚など背の高い家具は、効果の高いL字の金具を使用すると良いでしょう。他にもベルト式金具や突っ張り棒で固定するなどの方法があります。すぐには器具を使った固定ができない場合、滑り止めシートなどを使って地震の揺れで家具が回転して倒れないようにしたり、固定も難しい場合は、家具の位置を変えたりするのも方法の1つです。

特に、寝室では、寝ているところに家具が倒れてこないかどうか確認し、家具の向きや位置を変えるようにしてください。万が一、倒れてきた場合でも通路を塞がないような配置にしておくと安心です。

参考:東京消防庁ホームページ


飲料・食料のストックは最低3日分・望ましいのは1週間分

防災の備えとして、最低3日分の食料と飲料は、自力で乗り越えられるように、備えておくようにしましょう。
大きな災害が発生して、被災地の外からの食料支援を受けられるようになるには数日かかることもあるため、できれば1週間分の食料、飲料があることがベストです。

普段から試みていただきたいのが、「ローリングストック」です。比較的、賞味期限の長い食べ物を非常食用に少し多めに買い置きして、賞味期限が近づいたものから使って、食べた分はまた買い足していくという方法です。必要な量を、無理なく無駄なく備蓄することができます。

賞味期限の長いものであればもちろん良いと思いますが、最近では非常食として販売されているもので、水や電気を使わずに温められるアルファ米や、レスキューフーズなど、かなり質が上がり美味しくなっています。火や電気、お湯の必要がないものや調理が簡単な非常食品は、いざという時にとても便利です。

これから行楽シーズンに入りますが、キャンプやアウトドアなど屋外レジャーで一度試してみるというのも、楽しく「非常食」を知ることができるチャンスだと思います。いざという時の備えを、できるタイミングで早めに行っておきましょう。