驚くほど速い展開だった。大谷翔平選手の元通訳、水原一平容疑者がギャンブル依存症を告白しドジャースを解雇されたのが、3月20日のこと。そのわずか3週間後の4月11日に、米国で合同捜査にあたっていたIRS(内国歳入庁)と国土安全保障省、司法省が水原容疑者が銀行詐欺容疑で訴追されたと発表したのである。
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事件発覚当初、水原容疑者はスポーツ専門ネットのESPNに「大谷が借金の肩代わりに同意してくれた」と語ったが、5日後の25日に大谷選手本人がそれをはっきり否定。「結論から言うと、彼が僕の口座からお金を盗んで、なおかつ皆に嘘をついていた」と会見で声明を発表した。それでも米国では、ブックメーカー(賭け屋)への450万ドルもの送金をどうして大谷選手、彼のエージェントや会計士が気が付かなかったのか、という疑問の声は絶えなかった。
ニューヨーク・タイムズ「免責で終結した」
ところが当局の迅速な捜査により、驚愕(きょうがく)の事実が次々と明らかになった。4月13日付のニューヨーク・タイムズ紙は、その詳細について「大谷のめまいがするような3週間が当局の免責で終結した」というタイトルの長いコラムを掲載している。少し途中を要約してみる。
“彼(水原容疑者)は(解雇された後)すぐにロサンゼルスに戻る飛行機に乗り、国土安全保障省の捜査官が空港で彼を出迎えた。彼は事情聴取を拒否したが、捜査当局に捜査に不可欠な情報を提供した。彼は携帯電話を調べることに同意する書類に署名した。
大谷選手もまた、目立たないようにロサンゼルスに戻った。そして捜査官に、自分の電子機器類を提供して捜査に協力することに同意した。日本語の専門家と協力して、捜査官は2人の間の約9700ページのショートメールに目を通したが、スポーツ賭博や水原容疑者が取引していたブックメーカーに関する記述は一切なかった”
これによって、大谷選手がスポーツ賭博に関わっていたという疑惑、そしてブックメーカーへの送金に同意していたという疑惑は完全に晴れたことになる。