「韓国への強烈なライバル心を出していたのがイチロー(当時マリナーズ)だった。(第2ラウンドで)韓国に負けた際には放送禁止用語と思われる発言を口に出して悔しさをあらわにした。2009年の世界一を決める決勝打は意地の一打と言えるもので、日本中が熱狂に包まれた」(元スポーツ新聞MLB担当)
しかし2010年代に入ると両国の関係は一変した。韓国プロ野球(KBO)のレベル低下が進み、同国内にもNPBやMLBでのプレーを選択する選手が増え始めた。国内リーグのレベル差が代表チームの実力にも現れるようになっていった。
「韓国でもMLBを目指す選手が増えているが、数的には日本人メジャーリーガーの方が多い。アマチュアを含めた選手間のレベル差が現れ始めているようで、それが代表チームの実力差にも出ていると見るのが妥当でしょう」(MLBアジア地区担当スカウト)
二刀流として米国でセンセーショナルな活躍を見せる大谷翔平(ドジャース)をはじめ、投手ではメジャー通算103勝のダルビッシュ有(パドレス)、昨年新人王の投票で2位となった千賀滉大(メッツ)、野手では鈴木誠也(カブス)、吉田正尚(レッドソックス)らが日本野球のレベルの高さを示している。また今季からプレーする山本由伸(ドジャース)、今永昇太(カブス)などもブレイクの予感を漂わせている。
しかし、韓国人選手ではソウルでの開幕戦シリーズに出場した金河成(パドレス)ぐらいしか主力プレイヤーは存在していない。オフにジャイアンツと大型契約を結んだ李政厚の活躍には期待が集まるが、MLBでの勢力図を見ても両国の差を感じ取れる。
「韓国野球のレベル低下は深刻と言われる。昨年のアジア大会も、社会人選抜の日本相手に全選手をKBOの若手で揃えていながら辛勝だった。日本に対して遅れをとっていることは明白で、韓国球界関係者内では問題視されている」(MLBアジア地区担当スカウト)
昨年3月に行われたWBCでも大谷を中心とした侍ジャパンは強さを見せ、3大会ぶり3度目の優勝を果たした。一方で韓国代表は初戦のオーストラリア戦で敗れるなど3大会連続での1次ラウンド敗退。日本との直接対決でも4対13で完敗し、日韓の野球レベルの格差が浮き彫りとなりとなった。