阪神の新助っ人ゲラ

 開幕から約半月が経過したプロ野球のペナントレース。最も即効性の高いと言われる補強が新外国人選手だが、現時点で早くも明暗が分かれつつある(成績は4月14日終了時点)。

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 まずセ・リーグで素晴らしいスタートを切ったのがヤフーレ(ヤクルト)だ。来日初登板となった3月31日の中日戦で6回を2失点にまとめて初勝利を挙げると、4月7日の阪神戦では5回2/3を投げて1失点、14日のDeNA戦でも6回を無失点と先発投手としての役割を果たし、3連勝をマークしている。

 ストレートは140キロ台中盤と外国人選手としては決してスピードがある方ではないが、大きい変化のナックルカーブで打者の目線を変えることができ、小さく変化するチェンジアップやカットボールとのコンビネーションで的を絞らせないピッチングが特長だ。走者を背負ってからも粘り強く投げられるというのも先発向きで、ここまで3試合全て違うチームを抑えているというのもプラス要因だ。今年で26歳とまだまだ若く、投手陣のコマ不足に悩むチームの救世主となる可能性も高いだろう。

 セ・リーグの投手でもう1人、順調な投球を続けているのがゲラ(阪神)だ。開幕から勝ちパターンの中継ぎに定着し、ここまで8試合に登板。4月11日の広島戦こそ負け投手になったものの、それ以外の7試合は全てセーブ、ホールドがついており、2セーブ、5ホールド、防御率1.13と安定した成績を残しているのだ。

 最大の武器は150キロ台後半をマークするストレートで、球威で打者を圧倒することができている。変化球はストレートと変わらないスピードと軌道からわずかに変化するツーシームと、140キロ台前半のスライダーだけだが、ボールに力があるので1イニングであれば十分という印象だ。またここまで与えた四死球は0と、メジャーで制球難に苦しんだ姿から一変しており、日本での指導がマッチしたとも言えるだろう。今後も抑えの岩崎優に繋ぐセットアッパーとして期待できそうだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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