トモヤ  これもみんな同じ意見だと思うけど、大谷は二刀流選手としてベーブ・ルースを超えたと思う?

 
野球殿堂入りのベーブルース(左)(写:アフロ)

サム うん。大谷の体のケアに対する意識はすごいものがある。体つきを見てれば分かるよね。ベーブ・ルースは正反対だったという。天性のバッターだったんだろうね。僕は生まれてなかったから分からないけど。ディランは覚えているんじゃない?

ディラン  僕はまだ42歳だよ(笑)。僕もベーブ・ルースより上だと思う。それにベーブ・ルースに関して言えば、人種統合の前だという注意書きも必要になる。黒人選手は参加を許されていなかったから。それも含めて、今とは野球そのものが違いすぎる。

 今の時代は、投手が桁違いに速い球を投げる。殿堂入りした昔の選手を連れてきても、打てるかどうか分からない。ベーブ・ルースの社会的な影響力がすごかったことは理解している。野球が今の地位にあるのも、ベーブ・ルースがいたから。それでも、大谷と比べるのは、ペレをメッシと比べるようなもの。ペレの時代のワールドカップの試合を見たら、中盤で歩いてボールを運んでいるんだよ。昔の選手が今の選手より優れているなんて、とても言えないくらいスポーツは進化しているんだ。

エンゼルス時代の大谷(写真:アフロ)

トモヤ  これまで大谷を見てきた中で、最も印象に残っているシーンは? 僕は18年の本拠地での3試合連続ホームランかな。アメリカでの大谷劇場の幕開けだった。

サム  僕は、エンゼルスを取材し始めた初年度にシアトルで打ったホームランだな。推定飛距離が確か460フィートくらいだったけど、間違いなくそれ以上だった。21年7月のことで、1カ月半か2カ月くらい絶好調が続いていた時だったと思う。このホームランはまさにその象徴だった。

次のページ
負傷しても本塁打