シンワアートは、ワインオークションも開催している。「このところ落札率はほぼ100%の状態」(皐月啓嗣・オークション事業部ゼネラルマネージャー)という活況ぶりだ。コレクターの所蔵品がまとめて出品されるケースが多く、フランス・ブルゴーニュ産の「モンラッシェ」など国内ではめったに手に入らない希少銘柄が出品されることもあり、常連参加の愛好家も少なくない。
中国やロシアなど新興国でのワイン需要の高まりで、高級ワインの国際相場は過去10年ほどで大きく跳ね上がった。12年の習近平政権誕生以降のぜいたく禁止令で中国での需要が減退し、足元の国際相場は軟調だが、それでも10年前と比べれば2倍以上の水準で高止まりしており、投資対象としては手を出しづらい。
ただ、高級ワインほど時間をかけて熟成し、価値が上がっていくもの。長期投資のスタンスで構えていれば、値上がり益も狙える。作り手が同じでも作柄などによってヴィンテージ(収穫年)ごとに価格が変わるだけに、素人が投資対象とするのはハードルが高い。最初はプロのアドバイスを受けながら買うのがいいだろう。
例えば、英国の老舗ワイン商、ベリー・ブラザーズ&ラッド(BB&R)の日本支店では、ワイン投資についてアドバイスしてくれる。購入したワインはロンドン郊外にある同社の保管庫に預けておける。LivexやWine Searcherなどの価格情報サイトで値動きを確かめながら、BB&Rが運営するインターネット上の取引サイトで売買することも可能だ。
「欲しいワインは多めに買っておいて、飲み切れない分は売り、新たなワインを買う資金に充てるのが伝統的な投資の仕方だ」とBB&Rのセールス・ディレクター、サイモン・ステープルズ氏は助言する。
ワイン以上に価格が急騰しているのが、ウイスキー。英ウイスキー・ハイランド社の指数によると、トップクラスのシングルモルトは10年以降の4年間でほぼ4倍に値上がりした。「原因は新興国での需要の高まりと先進国でのシングルモルトブーム。そこに投資目的の資金も流れ込んで高騰した」とウイスキー評論家の土屋守氏は説明する。
香港のオークションでは希少ウイスキーに数百万円の値が付くのは当たり前。最高値は昨年落札されたクリスタル製デキャンタ入りの「マッカランM」で価格は何と62万8205ドル(約6600万円)。
昨年は世界で初めてのウイスキー投資ファンド「プラチナム・ウイスキー・インベストメント・ファンド」が香港で組成され、今年6月時点で340万ドルを投資、過去1年で32%の評価益を挙げているという。日本でも1口2万5000ドルから投資できるが、「短期のリターンを得られたとしても、長い目で見たら株よりリスキー」(日本人のウイスキーコレクター)との意見もある。
他にもダイヤモンドQ11月号では様々な高利回り投資を取材したので、興味ある方は参考にしてほしい。