この記念すべき第1回「マル外ダービー」は快速馬バンブーピノが逃げ、1番人気のファビラスラフインが2、3番手を追走。前半1000メートル通過56秒7というハイペースとなり、中段待機のタイキフォーチュンが直線半ばで先頭に立つと、追い込んできたツクバシンフォニーを3/4馬身差で退けた。のちに秋華賞を勝ち、ジャパンカップではシングスピールと死闘を展開したファビラスラフィンは14着に沈んだ。
タイキフォーチュンの勝ちタイムは1分32秒6。当時の東京競馬場の芝1600mのレコードタイムはオグリキャップが1990年の安田記念で出した1分32秒4で、あの怪物オグリキャップに迫るタイムを4歳(現3歳)春に出した事実は多くの競馬ファンに衝撃をもたらした。このタイキフォーチュンの勝ちっぷりと、その後の外国産馬によるNHKマイルカップの上位独占が続いた歴史(第6回まで内国産馬は3着2回が最高)は「マル外はエンジンが違う」と思わせるに十分だった。
冒頭にも書いたように、勝ちタイムは決して最強馬の証ではない。むしろ高速馬場を追求しすぎて有力な外国馬の来日を阻害している感もあるJRAには物申したい気持ちもある。それでもやはり驚異的なレコードタイムは分かりやすくファンを引き付ける魅力があるのも確かだ。果たしてイクイノックスはジャパンカップでまたしてもファンの度肝を抜くレコードタイムを刻んでみせるのか、ぜひ注目してほしい。(文・杉山貴宏)