リレー落語とは長い落語を前半後半に分けて二人の落語家が演じるという、一種のご馳走的企画。今回は百年興行にかけて企画され、私はその「百年目」の前半をやることになった。

 昼夜公演で前半を2回喋った。昼の後半は私の師匠・春風亭一朝。夜の後半は落語協会の大看板 柳家権太楼師匠。旦那が番頭に説教をする場面は、当然年嵩の方がやるほうが説得力が違う。やはり先輩方が後半がおさまりがよい。

 難しいのは、どの辺でバトンタッチするか。その打ち合わせをしなければならない。

 意外に思うかもしれないが、何日も前から入念に相談……なんか、当然しない。当日、楽屋で、出番の30分くらい前に、ざっと、「だいたいこんなのでいいか?」「そうですね」というかんじ。

 お二人とも「お前が好きなところまでやってくれ」と言っていた。そんなバカな。

 権太楼師匠に「どうしますか?」と尋ねると……。

権太楼「あのさ、番頭が花見に行くのに柳橋から船に乗るわな」

私「あー、私そこまででいーですか?」

権「んなわけねえだろ。でドンチャン騒いで向島の土手で旦那に見つかってさぁ」

私「やっぱりそこでタッチしますか?」

権「いや、何言ってんだよ。で、番頭が店に帰ってきてさ。なかなかその晩眠れないと……」

私「その辺で、切ります?」

権「いやいや、まだまだ。でさ、翌朝旦那に呼び出されてさぁ」

私「そんなとこまで行っちゃっていーんですか?」

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ホントにそこまでやったら怒るくせに!!