フォーク以外の変化球で勝負できるようになれば、一気に成績を上げる可能性も高い。2年目のキャンプでは順調な調整を続けており、オープン戦でも5試合に登板して防御率1.35と結果を残し、特に20回を投げて与四球わずかに2が示すように制球力の高さを示した。チームは慢性的な投手陣不足に苦しんでいるだけに、今年は先発ローテーションの中心として昨年から大きく成績を伸ばしたいところだ。
パ・リーグで注目が集まるのが山本由伸(ドジャース)と山崎福也(日本ハム)の抜けたオリックスだ。昨年は冒頭で触れた山下と夏場以降に6連勝を記録した東晃平が大きな戦力となったが、彼らに続く存在として注目したいのが2年目の曽谷龍平だ。2022年のドラフト1位で入団し、ルーキーイヤーの昨年は1勝2敗という成績に終わったが、二軍ではチーム2位タイとなる6勝をマークしている。スリークォーターから繰り出す150キロ近いストレートは左投手らしい角度があり、鋭く大きく変化するスライダーも一級品だ。
さらに小さく沈むツーシームもプロ入り後にレベルアップした印象を受ける。3月20日のDeNAとのオープン戦では先発で4回を投げて5失点と結果を残すことができなかったが、27日の阪神との二軍戦ではリリーフで5回を投げて無失点、四死球0、6奪三振という見事な投球を見せた。山崎福也の穴を埋める左の先発候補としてかかる期待は大きい。同じオリックスでは2021年ドラフト1位の椋木蓮もトミー・ジョン手術から復帰しており、シーズン途中にローテーションに加わってくる可能性もありそうだ。
最後にリリーフから先発に転向する予定の投手でいきなりエース格となる可能性を秘めた選手としてモイネロ(ソフトバンク)を挙げたい。これまでの実働7年間で306試合に登板し、19勝、40セーブ、135ホールド、防御率1.95という見事な成績を残している。昨年は怪我で27試合の登板に終わったが、それでも防御率は0.98、1イニングあたりの被安打と与四球の合計で算出するWHIPは0.58と超一流の数字をマークした。