個人契約や専属通訳など立場によって違うかもしれないが、日常生活においての困りごとなどに対応することはある。選手の家族が体調を崩せば病院を紹介し同行、土地勘がない場所での買い物に困れば助言する。その意味で、高橋さんは水原氏を「非の打ち所がない通訳では」と評するが、お金の問題は別だ。
「金銭の管理や相談は、選手と通訳の関係性において99%ないです。選手も避けたいと思っているはずだし、私自身も仮に頼まれても断りたい。それだけに今回の報道は想像が難しい」
通訳としての“こころ”を忘れてほしくなかったと嘆く。
「通訳の最大の仕事は、選手が試合で活躍できるようサポートしチームの勝利につなげること、そして選手の生活における不安や障害を取り除くことです。それができなくなれば通訳としての選手との関係は終わる。本当に今回の報道はショックでした」
ESPNによれば水原氏は「ギャンブル依存症だ」と告白したとされ、大谷選手の関与は全面的に否定しているが、先の展開は見えない。
大谷選手の前途に暗雲垂れ込めぬことを願うばかりだ。(編集部・秦正理)
※AERA 2024年4月1日号