初めて被災地を訪問したのは2019年12月、台風19号で被害を受けた宮城県と福島県だった。

「台風19号が東日本に甚大な被害を及ぼしたこの年の10月、両陛下は天皇陛下の即位に伴う10月22日の祝賀パレードを1か月延期しています。発災から2カ月後に両陛下は現地への被災地訪問を実現させました。天皇、皇后として初めて被災者と手と手を取りあっての対話でした」(河西さん)

 12月26日、10名以上の死者・行方不明者が出た宮城県丸森町を訪れた。阿武隈川支流の五福谷(ごふくや)川が氾濫し、住宅や道路は土砂崩れや濁流に襲われた。

 丸森町の花田応急仮設住宅では、50人ほどの被災者と対面した。

 被災した女性が、中学生と小学生の子どもが浸水した自宅に取り残されたと話すと、おふたりは目を合わせて女性の手を握り、「怖い思いをされましたね」と寄り添った。

 このとき現地で取材をしていた人物は、

「『生活はどうですか』『心のケアは大丈夫ですか』と、被災者がこれから生きていくためのケアや環境を気遣う言葉は、周囲への気遣いを絶やさない陛下らしいものだと感じました」

 と振り返る。

災害が起こると友人との約束も中止

宮城県から福島県まで移動するため、陸上自衛隊のヘリコプターに乗り込む陛下と皇后雅子さま=2019年12月、宮城県丸森町、代表撮影/JMPA

 被災地に負担をかけないという点からも、発災直後に皇室が被災地を訪問する場合は、日帰りで日程を組むことも少なくない。

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